指標分析から見る成功企業の作り方(ROE・ROI編)
日本企業はこれまで売り上げ規模と利益の拡大を重視し、経営効率を軽視してきた。しかし、日本が低成長時代に突入し、成長には限界が見え、海外では、発展途上国を巻き込んだ大競争が始まっている。
このような時代において、企業の力を測る物差しは、「資本がいかに効率よく使われているか」ということになるがこの指標としとして一般的に使われるものがROE(株主資本利益率)であったり、ROI(投下資本利益率)であったりする。
ではそのROEやROIとはどのようなものなのだろうか。
ROEとは株主資本利益率のことであり税引後利益を株主資本で割ったものをいう。
これにより株主が会社に出資した金額にたいしてどれだけの利益を生み出したかが明らかになる。
上場企業を例に出すと、自動車業界では、売上高ではトヨタ自動車かダントツだがROEでは本田技研工業が優れていうことになる。(トヨタ5.0%,ホンダ6.5%)これによりホンダが設備投資を増やさずに効率よく利益を出していることがわかる。また、小売業では、セブンイレブンが他を圧倒している。(15.9%)この数字は他の業種と比較しても非常に高い数字で世間の評判通り効率のよい経営をしていることがわかる。
一方、ROIとは投下資本利益率のことであり経常利益を投下資本全体(資本金、社債、借入金)で割ったものをいう。これにより株式、社債等を発行し、さらに借入をしてまで調達した資金に対してどれだけの利益を獲得したのかが明らかになる。業種別に例を挙げると製造、小売業は低く、サ−ビス業は高い数値が現れるのが一般的だ。
アメリカでは会社における株主の影響力が強いためROEが大変重視されROEの数値で株価が上下したり、経営責任を問われたりするが、日本の特に中小企業においては、株主の影響力よりもむしろ銀行や、取引先に対してこの会社にどれだけの収益力があるのかを示すのが大切なのでROEよりもROIの方が重視される。そこで自分の会社や取引先の企業を冷静に数値評価したい場合にはROIを算出してみてもらいたい。
ここでROIをさらに分解してみよう。
経常利益
ROI= ―――――――――――
投下資本
売上高 経常利益
= ―――――― × ―――――――
投下資本 売上高
前者を経営資本回転率、後者を売上高経常利益率という。
以前に売上高経常利益率についての説明をしたが、利益率が低いのであれば回転(売上)を多くすればよいし、回転が少ないのであれば利益率を上げなければならないということになる。難しい言葉や数式で表すと難解なイメージがあるが、商売の成功方程式の仕組みの構造がそれほど難しくないことに気付いてもらいた。
これからの時代には、限られた資本の中で売上を伸ばすことが、成功の条件として業種業態問わず必要となってくるだろう。