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オランダから学ぶスマート農業の方向性と専門職

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JNEWS会員配信日 2020/8/25

 5Gの高速通信による恩恵は、これまで通信環境が悪かった屋外ほど大きいため、農業分野でもリモートビジネス(スマート農業)の普及が進むようになる。
具体的には、各種のIoTセンサーやカメラを農場に設置して、土壌、水量、気象、作物の発育状況のデータをリモート監視しながら、効率的な栽培をしていくのがスマート農業の形である。

国土面積が日本の9分の1しかないオランダでは、1980年代から農業のハイテク化を進めることで、現在は農業輸出高が米国に次いで世界第2位の農業国になっている。日本の農地面積が450万ヘクタールに対して、オランダは184万ヘクタールしかない。しかし、1農業事業者あたりの平均経営面積は、オランダが32.6万ヘクタール、日本は2.9万ヘクタールと大差で逆転している。

広大な土地を持つ米国が農業大国というのはわかるが、小国のオランダが農業で成功してる理由からは、日本の農業事業者が学べることが多い。

《農産品輸出の世界シェア(2015年)》

《日本とオランダと農業経営比較》

オランダの農産物は、ジャガイモ、タマネギ、トマト、ニンジンのなどの主要野菜に加えて、チューリップやユリの球根栽培を中心とした花き園芸には、政府がハイテク化への積極的な支援を行っている。

球根栽培の温室では、限られたスペースを最大限に活用するための多層栽培がされており、収穫量を通常の2倍に増やすことができる。LED照明により品種別に最適化された光量が照射されて、地中に埋められたセンサーからは土壌の水分量が測定されため、散水設備からは常に適正な水量を散布することができる。また、病害虫対策として、2割近くの農家が温室内でドローンを飛ばしている。

こうした農業のハイテク技術については、オランダ政府が積極的な支援を行っており、ソリューション会社と農業事業者の双方に補助金を支給している。2014に創業した「Avular」というオランダの新興企業は、屋内での飛行を得意とする小型ドローンの自律飛行システムを開発しているが、政府からの補助金を受けて、温室内のドローン検査システムも完成させている。

ドローンを温室内で自律飛行させるには、天井の高さを正確に把握して飛行できるナビゲーションプログラムや、壁やガラスなど障害物が認知できる、高度なセンサー機能を組み込む必要がある。また、温室内は高温多湿で、精密機械のドローンにとっては過酷な環境となるため、耐久性の高い電子回路への見直しも必要になる。さらに、ドローンが撮影した画像から、害虫の有無や作物の病気を発見できるAIシステムも開発されている。

Avular

このような、狭いスペースでも生産性を高められるスマート農業は、農地が乏しい砂漠地域の国からも求められており、オランダは自国で開発されたスマート農業の技術輸出を、次の産業として育てていくことを目指している。その中では、スマート農業に関わる新たな専門職も生まれている。

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・5Gで進化する学ぶスマート農業の方向性
・スマート農業で成功する小国オランダの動向
・スマート農業から生まれるリモート専門職
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