VRデバイスとゲームソフトを融合した職業訓練用のシミュレーターを専門に開発する新興企業が成長。危険な作業を伴う建設業や電気・ガス業界などから開発を依頼されるケースが増えている。(JNEWSについて
職業訓練向けバーチャルシミュレーターの開発ビジネス

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/11/1

 職業訓練用のシミュレーターといえば、以前は航空機のパイロットやF1ドライバーの育成などにしか導入することができなかったが、最近では市販されているVRデバイスを活用することで、大幅に開発コストを下げることが可能になっている。企業にとっても、求職者の仕事への興味関心を高めたり、訓練を効率的に行う目的で、シミュレーターを持つことの費用対効果は高いとみられている。

カナダで2005年に創業した「Serious Labs(シリアスラボ)」は、バーチャルリアリティとゲーミングの技術を融合した職業訓練用のシミュレーターを専門に開発している会社で、危険な作業が伴う、建設業、石油、ガス業界などを主なクライアントにしている。訓練シミュレーターは、安全に専門技能を習得するのに有効なことから、労働組合からも、会社側に導入を働きかける動きもある。

Serious Labs社が開発した高所作業用リフトの訓練シミュレーター「ReachEx」は、実物サイズのリフトを模した筐体に、リフト操作のコントローラーが付いており、VRヘッドセット上の画面で、現場の作業を疑似的に体験できるようになっている。
訓練のプログラムはクラウドベースで配信されるため、導入企業がシミュレーター以外のシステムを構築する必要は無い。

このシミュレーターでは、各作業者のリフト操作内容を正確なデータとして記録することができ、操作の苦手な箇所や改善点を把握することができる。これまで、重機オペレーターのスキルは、長年の経験で得た感覚や勘に任されてきた部分が大きいが、シミュレーターを利用することにより、作業者の悪い癖なども客観的に発見して、重大事故を未然に防ぐことに役立つ。

また、新人オペレーターの訓練でも、従来はトレーナーがマンツーマンで長時間の指導をする必要があったが、シミュレーターを導入することにより、その人的負担を大幅に軽減できるようになる。

Serious Labs
■シミュレーター「ReachEx」のデモ映像

Serious Labs社に対しては、2017年にベンチャーキャピタルと、米国最大の重機レンタル企業、United Rentals(ユナイテッド・レンタルズ)が500万ドルの出資を行っている。ユナイテッド・レンタルズは、シミュレーター開発の共同パートナーとしても参画しており、同社がクライアントとして抱えている建設会社や電力会社にニーズに添った製品の開発を進めていくことになる。

職業訓練用のシミュレーターは、リアルな操作ができるハードウエアと、VRのソフトウエアによって構成されるため、導入企業にとっては定期的なメンテナンスやバージョンアップが必要になる。そのための販売モデルとして、売り切りではなく、リースやレンタル方式にすることが望ましく、継続的な安定収入が得やすいのも特徴といえる。Serious Labs社では、「ReachEx」のようなシミュレーターをクライアントが10万ドル以内の予算で導入できるようにして、シェアの拡大を狙っている。

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