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農業民宿の起業による農村移住の方法と採算の考え方

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JNEWS会員配信日 2023/1/10

 地方移住の希望者が、移住後の収入源を確保する方法としては、「現地の会社に就職」「リモートワーク」「現地での起業」という3つの選択肢があるが、移住者を誘致する農村部の自治体では、地元での起業プランとして農家民宿の経営を推奨するようになっている。

農家民宿とは、宿泊サービスに加えて、旅行者に田植え、稲刈り、果物の収穫、蕎麦打ちなど、多様な農業体験サービスも提供するもので、経営ができるのは、農山漁村余暇法という法律によって、農業者や漁業者に限られていた。しかし、2018年からは、それ以外で現地に住む個人や団体の開業も認められるようになった。

農家民宿の開業には、旅館業法の営業許可を取得する必要があるが、通常の宿泊施設よりも面積基準などが緩和されるメリットがある。さらに、農業体験サービスをセットすることで付加価値を高めることができ、ファミリー客の他に、小中高校生の自然体験学習、企業の社員研修としても使われて、宿泊日数も長くなる傾向がある。このような農村滞在型旅行は、「農泊」として国が地方自治体と連携する形で推進しており、農村地域の新たな収益源にすることを目指している。

農泊ポータルサイト(農林水産省)

《農業民宿の法的メリット》
 ○通常より狭い客室面積でも簡易宿所の許可取得ができる。
 ○地元消防署の判断により、消防用設備を簡略化できる。
 ○囲炉裏や茅葺き屋根など火災対策の制限も緩和される。
 ○農家民宿が宿泊料金に農業体験を付加しても旅行業法に抵触しない。
 ○浴室やトイレ設置の条件も緩和される。

上記以外でも、宿泊客の食事提供に使用する厨房を家庭兼用のキッチンでも許可したり、農家民宿が自ら生産した米や果実を原料とした酒を、宿泊客に提供することを認めたりする規制緩和も、自治体によっては行われている。このように、法律面の規制緩和と、自治体の支援により、農業民宿の開業はしやすくなっており、移住先での起業を目指す人の事業テーマとして人気が高まっている。

「里の物語」は、農林水産省の関連法人である、まちむら交流機構が運営する農山漁村体験のポータルサイトで、全国で110件を超す農家民宿の紹介されている。その中では、築100年以上の古民家を改装したものや、一般住宅を改装した事例が掲載されている。ただし、農家民宿の経営だけで生活していけるケースは少ないのも実情だ。

農家民宿の一覧(里の物語)

農水省の6次産業化総合調査によると、2020年の時点で全国には1200ヶ所以上の農家民宿があり、年間売上の総額は36.2億円、民宿1件あたりの平均売上は286万円と算定されているが、実際には売上100万円未満の割合が7割近くある。これは、農家民宿の9割は個人経営であり、副業として行われているためだ。そのため、農家民宿による移住では、もう一つの柱となる収益源を作ることが成功のポイントになる。

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