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2001年インターネット市場を占う

Written in 2001.1.7



 昨年2000年のインターネット市場を振り返るなら「混乱の年」であったことは言うまでもない。ネットビジネスのお手本とされていた米国では、ネット関連企業が資金調達をおこなうための重要な指針とされるナスダック市場が、98年から一本調子で上昇を続けて2000年3月に天井を打った後、一気に急落したことからインターネット市場全体に対する風向きが変わった。今なおナスダック市場の下降トレンドは継続していることから、今年1年間もネット市場を取り巻く金融環境は厳しいことが予測できる。

 それまでは、潤沢におこなわれてきた資金調達によって、ネット企業は赤字体質であることが許されていた。「今期の利益がいくらなのか」よりも、「将来に向けた事業の有望性」が株価を押し上げる要因として評価されていたためである。しかし株価暴落以降、投資家達の評価基準が「将来性」から「収益性」にシフトしていることから、利益率重視のビジネスモデルへの見直しが急ピッチで進められている。

 インターネットを取り巻く市場は、今後も間違いなく拡大していくが、「あまりに成長速度が速すぎること」「市場の規模が確定することなく無尽蔵に拡大していくこと」がネット企業単体の黒字化達成を阻んでいる。もう少しわかりやすく説明しよう。




“パイの奪い合い”が未だ通用しないネット市場



 18世紀末にイギリスで始まった産業革命以降、通用してきたビジネスの成功法則は“パイの奪い合い”である。限られた市場、商圏の中にあるパイ(=見込み客)をいち早く囲い込んだものが、その市場内において優位的なポジションを獲得・維持することができる、というのが従来型ビジネスにおける必勝パターンであった。

 その過程では、優先的ポジションを獲得するまでの期間は多額の設備投資をして赤字体質であったとしても、やがて市場規模が確定して設備投資が完了すれば、優先的な市場占有率を背景にして徐々に利益を生み出すビジネスへと転換していくという構図だ。この流れを成立させるためには「市場規模が確定すること」と「競合者の数が落ち着くこと」という2点が必須条件となる。

 しかしインターネット市場においては、いずれの必須条件も満たされていないのが現状。「ポータル競争」という言葉に象徴されるように、インターネット業界では未だに「市場の独占」を勝ちパターンとしてとらえている。しかし、アナログ分野からのあらゆる業界、サービスが、今後はインターネット分野と融合することを考えれば、特定分野の中だけで優先的シェアを獲得したとしても、“独占への競争”の中で勝つことはできない。ここにネット業界が抱える大きな問題点がある。

 例えば、Eコマース分野でいえば、webサイト上のみでカテゴリー内シェアトップの座を一時的に獲得したとしても、それを維持するためには他カテゴリーからの新規参入を抑え込まなければならないし、webサイトのみでなく携帯・モバイル市場への進出や、Tコマースと呼ばれるデジタルテレビ上での電子商取引分野へも、やがて進出していかなければならない。

 つまりインターネットに関連した情報技術の進歩が終着するまでは、市場規模が確定することはなく、新規参入者も続々と登場してくるために、設備投資の繰り返しで収益の確保は後回しという状況が続く。それだけの体力を、一つのベンチャー企業に期待すべきか否かを見直す時期に差し掛かっているようだ。

 これらの現状を踏まえた上で、2001年におけるインターネット業界の展望を占ってみたい。




脱ポータルから生まれる発想



 JNEWSが1年前に配信した年頭記事「 2000年インターネット市場を占う」の中で、“脱ポータル宣言”という言葉を使った。ネット業界の体勢が熾烈なポータル争い(ネットユーザーすべての入り口となるようなwebサイト争い)をする中で、体力の弱い零細ベンチャー企業が同じ路線を走ったとしても勝つことができない。ならば、ポータルという発想を捨て、専門分野の特定カテゴリーにサービスの重心を置くことにより、ニッチではあるが他社が追随することができない深い市場を獲得することが可能になる。この考え方は1年経過した現在でも通用するものだ。

■JNEWS LETTER関連情報
 JNEWS LETTER 2000.1.6
<2000年インターネット市場を占う>
https://www.jnews.com/mem/back/2000/01/j20000106.html
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。

 オンラインショップ運営においても、この視点はあてはまる。現在、国内で成功しているオンラインショップは月商2000〜3000万円を売り上げるが、これは(優良顧客×高い客単価)という構造によって成り立っている。逆に(大量の大衆顧客×低い客単価)という商売では、商品の品揃えにおいても他ショップとの差別化がしにくく、新規顧客も集めにくい。

 インターネットユーザーを「上澄み層」「革新層」「追随層」「浸透層」という下記の4段階に区分すれば、上記の成功オンラインショップがターゲットとしているのは「上澄み層」「革新層」あたりまでで、ポータルサイトが狙うのは4段階すべてのユーザー層という違いがある。

 ユーザー層を絞り込めば、月商2000万円のショップが短期間で月商1億円へと成長することは難しいが、質の高い顧客中心に利用されることでショップとしてのブランドイメージを高めることができる。ここで欲を出して、下位の客層(浸透層)にあわせた商品設定や価格設定をしてしまうと、上位の客層(上澄み層)を逃すことになる。

 一方、大企業がEコマースサイトを新規事業として立ち上げる際には、成功基準として「将来的に数百億円規模の売り上げが見込めること」という事業計画を立てる。そのため、上位ユーザー層のみをターゲットにするのでは目標達成が難しく、すべてのユーザー層を狙える総合ポータル的なサイトを目指すことになる。これは大企業であるが故の悩みどころであることは、当の大企業側でも自覚している。ならば、零細ベンチャー企業が、敢えて今から総合的なポータルサイトを狙う意味は見つからない。

<●ネットユーザーの市場全体における階層パターン>

階層パターン


■JNEWS LETTER関連情報
 JNEWS LETTER 2000.10.11
<ネット市場拡大に連動した客層変化の法則と絞り込み方>
https://www.jnews.com/mem/back/2000/10/j20001011.html
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業界横断型から縦断型への移行トレンド



 総合的なポータルサイトからの脱却を目指すのであれば、具体的にどんな方向性でサイト運営をおこなえばいいのか。そのキーワードとして「業界横断型から業界縦断型への移行」というトレンドを意識しておきたい。

 “ショッピングモール”というビジネスモデルで考えてみよう。総合ショッピングモールといえば、個人ユーザーを対象(B-to-C型)にして、あらゆるカテゴリーの商品が同サイト内で購入できるという商売をしている。つまり扱う商材は衣料品、食品、パソコン関連、インテリア、と多岐にわたり、モールへの加盟企業はあらゆる業界を横断している。

 このような業界横断型ショッピングモールは、一般的なユーザー層にとって使い勝手は良いものの、より専門性を求める上位のユーザー層にとっては「物足りない」という印象を抱かせる。これは最も優良な客層を逃していることでもある。

 そこで今後は、業界縦断型のEコマースサイトに注目していきたい。従来のように、個人ユーザー向けサイト(B-to-C型)、と企業向けサイト(B-to-B型)を区別するのではなく特定業界に集まるユーザー(見込み客)を縦断的に囲い込めるだけのコンテンツを揃えることによって、同業界に興味・関心を持つユーザー層をすべて獲得することが実現する。このようなコンセプトを持つwebサイトを業界用語では「B-to-B-to-C」と呼ぶこともある。

 該当する国内事例としてはJNEWS LETTER 2000.3.25号で紹介した、磁石業界を縦断した「MAGNET WORLD(マグネット・ワールド)」のコンセプトと成果がそれに近い。サイト上では個人ユーザー向けに磁石の活用方法を紹介しながらオンライン販売することで、話題を集めると同時にECノウハウを蓄積する。そして、個人ユーザーに紛れた、企業担当者からの商談依頼を上手に拾い上げることによって、同サイトの売上高の大半は企業取引が占めるという流れを作り出すことに成功している。

マグネット・ワールド(二六製作所)

■JNEWS LETTER関連情報
<中小製造業者が成功するネットビジネスの視点と法則>
https://www.jnews.com/mem/back/2000/03/j20000325.html
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 またJNEWS LETTER 2000.10.18号で紹介した「焼酎どっとこむ」についても焼酎業界における業界縦断型のコンセプトを持つwebサイトとして参考にしておきたい。いずれも特定業界における関連ユーザー層を広く取り込むことによって他の業界横断型のサイトにはない強みを持っている。

焼酎どっとこむ

■JNEWS LETTER関連情報
 JNEWS LETTER 2000.10.18
<酒販業界の規制緩和と差別化戦略に着目した焼酎取引市場>
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。




求められる無料型ビジネスモデルの見直し



 ネットビジネスの黒字化を阻む大きな要因となっているのが「無料型ビジネスの氾濫」である。有意義なサービス自体を無料で提供することにより、大量の利用者を集めて、企業からの広告掲載収入で稼ぐ、というのが常套手段だ。

 しかし昨年からは「広告レスポンス率の低下」という大きな問題が無料型ビジネスの収益モデルを根底から揺さぶりはじめた。広告を出稿する企業クライアントにとって最も意識する成果は、広告掲載することで獲得できる顧客数の費用対効果、つまり「顧客獲得コスト」である。

 仮に、バナー広告のクリック率が 0.5%であった時の顧客一人あたりの獲得コストが3,000円だとして、クリック率が 0.1%にまで低下した場合には、顧客獲得コストは5倍の15,000円に跳ね上がる。たとえ、広告掲載料金の相場が据え置かれたとしても広告レスポンス率の低下が、即、顧客獲得コスト上昇へと影響することを企業クライアント側が意識しはじめているのだ。

 つまり、広告掲載収入に依存した無料型ビジネスモデルは、企業スポンサー側にフィードバックされる顧客獲得コストの推移に命運がかかっているといっても過言ではない。

 そこでネットサービスを提供する企業に今後求められるのは、広告掲載収入に依存しない収益モデルの確立である。その中でも、最もわかりやすいのは有料会員制によるサービスだといえる。

 有料会員サービスを成功させるためのポイントは大きく2点に集約される。一つは「有料としての価値が認められるサービスであること」、もう一つは「課金をなるべく意識させない決済システムの導入」である。このポイントをクリアーして、有料会員ネットワークを数万、数十万人規模にまで成長させれば、非常に完成度の高い収益モデルとなるだろう。




注目される携帯関連ビジネスの落とし穴



 近年の独立希望者に大人気の新規事業プランが「携帯電話関連のコンテンツ配信サービス」だ。携帯電話でクーポン券を入手できるサービスや、ユーザー同士のコミュニティ作り、携帯端末からのオンライン予約サービスなど、企画内容のパターンは共通している部分が多い。

 新規独立希望者や零細ベンチャーにとって、携帯コンテンツが手掛けやすい背景には、世間に普及している携帯端末の機能が今のところシンプルであるために、比較的、事業資金が少なくて済むという理由がある。しかし、これは大きな落とし穴だと考えておくべきだ。

 2001年早々にはiモード端末にJavaが搭載されることに加えて、従来よりも高速データ通信が可能なIMT-2000規格のサービスもスタートする。ところが、これら新機能が登場することによって、現在の携帯関連コンテンツがどのように変化、進化していくのかの詳細情報や動向予測は、関連分野を手掛けるベンチャー企業でさえも入手困難な状態が続いている。

 携帯電話とインターネットとの融合がもたらす新市場は莫大な規模であるために、今後は巨大資本による大企業の参入は避けられそうにない。携帯電話関連市場を牛耳ることができるのは、一般に“キャリア”と呼ばれる携帯電話会社であり、関連コンテンツを手掛けるベンチャー企業は、その下位についてキャリアの顔色をうかがうしかない。コンテンツの有料課金にしても、キャリアの公式サイトとして潜り込めるか、勝手サイトとして独立独歩でいくのかにより、同じクオリティのコンテンツであっても、その収益構造には天と地ほどの差がある。

 そのため、携帯関連コンテンツを事業の柱とする場合には、ある意味で「利権ビジネスの中で勝負する」といった心構えが必要であり、そこが純粋なネットビジネスとは異なる部分である。




種を蒔いておくべきクリック&モルタル市場



 2001年のネット市場を占う中でネガティブな予測が多くなったが、明るい兆しが見える分野も決して少なくない。忘れてはならないのは「ネット業界全体の市場規模は間違いなく拡大している」ということだ。

 その中で昨年から話題になりはじめたトレンドとして「クリック&モルタル」関連の動向には注目しておきたい。ネット上でゼロから顧客を開拓し、商品の受注から配送までをすべてオンラインの枠組みの中でおこなうのが“Eコマースサイト”“オンラインショップ”であるのに対して、ネット上で宣伝やプロモーション、顧客獲得活動をおこない実店舗へと集客しようとするのが「クリック&モルタル戦略(インターネットと実店舗との融合を意味する)」である。

 具体例としてはユニクロのネット戦略が話題になったのが記憶に新しい。“フリース”という単一商品を、実店舗にはない50色の品揃え、という付加価値をつけてwebサイト上でオンライン販売した試みは、多数のメディアで取り上げられて話題を呼んだ。結果としてユニクロのブランドイメージはネットユーザー達の間に浸透して、実店舗への集客効果へとつなげている。

 必ずしもオンライン上の売上げだけで成果を評価するのではなく、ネット上での活動を“本業”の隠し味として上手に利用することがクリック&モルタル戦略の目的なのだ。

 ユニクロの事例に限らず、中小の旅館経営者が周辺の観光情報や宿泊予約状況をwebサイト上から発信することにより、実際の宿泊客獲得へとつなげているのも同様の戦略と考えてよいだろう。

<●実店舗における集客手法の変化と問題点>

 実店舗経営者にとって集客活動は最も重要な仕事であり、そのための予算も高い優先順位で確保している。従来の集客手法としては、「新聞折り込みチラシ」「郵便DM」「雑誌への広告掲載」などが定着しているが、いずれの方法にしても消費者からのレスポンス率は低下傾向にあるため、顧客獲得コストは上昇ぎみだ。

 そこで、前出のようなネット上でのクリック&モルタル戦略により、効果的な集客をおこなうことに関心を持つ実店舗経営者は多い。ところが、彼らが各自でwebサイトを立ち上げてアクセス数を増やし、見込み客ユーザーを組織化して囲い込むことは、膨大な時間とコスト、そして専門ノウハウの習得が必要になり非効率だという問題点が浮上する。

 ここにネット関連ベンチャー企業のチャンスがある。県別または都市別に限定された地域ユーザーが集う“地域ポータルサイト”を形成して、大量の該当ユーザーを属性別(年齢や職業等)に組織化することに成功すれば、その中で実店舗経営者達は自店の宣伝や集客活動をおこなえばよいのだ。

 「地域ポータル」という言葉が妥当かどうかの議論は別として、限られた地域内における特定の属性ユーザーに対するネット上のマーケティング活動を望んでいる実店舗は多く、その市場規模は新聞折り込みチラシや郵便DMに流れるマーケティング予算額に相当するものだ。今までに形成されたインターネット広告市場とは異なる新市場でもある。

 地域ポータルサイトのコンセプトを持つ事業企画は国内でも既に多数存在していて、様々な関連サイトが登場している。しかし、その大半はクーポン発行機能、コミュニティ機能など、地域サイトの機能開発ばかりに終始しており、肝心の地域ユーザーの組織化に大成功している事例は今のところ少ない。

 そして、このような地域関連サイトは商圏が分散されるために、「勝者はネット上で1サイト」に限定されることはなく、「各地域毎に勝者の座」が用意されているのも大きな特徴であり魅力。ネットユーザーの地域別分布状況の傾向から、地域ポータルサイトを開設してすぐに、大量ユーザーを獲得、黒字化が達成できるわけではないが、同市場に種を蒔くのなら“今年まで”だと意識しておきたい。




収益モデルとしてのアナログ分野に注目



 実店舗のクリック&モルタル戦略に限らず、ネット上での活動における収益モデルとして「アナログ分野での成果」に活路を開くことも今年以降の重要戦略となるだろう。

 例えば、デジカメ写真の普及を受けて「オンラインアルバム」というサービスが昨年、人気化した。登録ユーザーはオンラインアルバムに自分のスペースを作り、デジカメで撮影した写真を無料で保存することができるが、その写真を紙にプリントする際には有料の出力サービスを利用することになる。無料サービス部分だけを利用して、有料サービス部分を避ける利用者が多いのが同事業のネックだが、アナログ分野で収益確保の道を開こうとする事例としてはわかりやすい。

 そして、このオンラインアルバムのコンセプトを応用して、写真撮影代行サービス(オンライン・フォトエージェンシー)が米国で登場しはじめていることにも着目しておきたい。

■JNEWS LETTER関連情報
 JNEWS LETTER 2000.4.05
<オンラインアルバムによるデジカメユーザーの囲い込み戦略>
https://www.jnews.com/mem/back/2000/04/j20000405.html

 JNEWS LETTER 2000.9.26
<姿を変えながら成長するオンラインアルバムの収益モデル>
https://www.jnews.com/mem/back/2000/09/j20000926.html

 JNEWS LETTER 2000.12.27
<写真撮影業界の新モデル〜オンライン・フォトエージェンシー>
https://www.jnews.com/mem/back/2000/12/j20001227.html
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。

 デジカメ写真に限らず、ネット上に多数存在するコンテンツの多くは、収益を生み出すことなくオンライン上で流通しているのが現状。その中から商品価値の高い、優れたコンテンツを発掘して、アナログ市場で商業的に流通させるという発想も今後の収益確保のためには有意義な策となる。

 多数存在するメールマガジンにしても「メールマガジンという形態だから有料化できないが、紙版を作ることで収益が確保できる」といった優れた内容のものもあるはずだ。このような、オリジナルの発想や戦略により、手堅い収益モデルを確立することが2001年にネットビジネスを志す者の課題だ。

 商売の大原則は「利益を生み出すこと(黒字化)」にあることは言うまでもない。しかし、今までのネット業界には「IPO(株式公開)をして大金持ちになる」という幻想的な目標があり、ベンチャー経営者達の理性を失わせていた。もちろん、適正な事業拡大のためには、相応の資金を調達するために株式公開を目指すことは決して間違いではない。

 ただし、不動産バブル崩壊以後、金融・証券業界を中心に繰り広げられるマネーゲームの波が、ネットベンチャー企業を投機対象としてきた事実は否めない。この波に呑まれることなく、自らが掲げた“ベンチャー”としての志を貫くことこそが、21世紀のネット社会に貢献する、真のインターネット企業となれるのかもしれない。

 インターネットの登場が本物の「革命」であるなら、従来の資本主義経済の理論を根本から覆す可能性すらある。革命期の中で正しい道を選択して、生き残り、成功するためには、過去のお手本を真似るのではなく「自分で考えながら歩く」ことが最も大切なことなのだろう。

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