2004年有望ビジネスへの着目点

     
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2004年有望ビジネスへの着目点
−新発想が求められるeコマース業界−

 2003年を振り返れば国際情勢はイラク戦争に端を発して不安定な状態が続いた一年と言えるだろう。経済面では株価が5月から11月にかけて3割ほど上昇する場面もあり、政府は「緩やかに景気は回復」という分析をしているが、実際に商売をしている経営者側からは「昨年よりも厳しくなった」という意見が多く聞かれた。銀行業界でも特に地方銀行の経営は厳しい状況にあることから、2004年は中小企業にその影響が色濃く現れてきそうな気配がある。

IT業界に目を向けてみると「9割の会社が苦戦する中で1割の会社のみが儲かる」という勝ち組と負け組の差が明確に現れた年だといえそうだ。ただしその“勝ち組企業”の中でも、これまでに築いてきた収益の構造にほころびが出始めて、新たなビジネスモデルへの転換を迫られる部分も目立つ。これは1995年から一気に伸びてきたパソコン、インターネットの普及が落ち着き、「一般の人達もインターネットを使えることが当たり前」の時代になったことを示している。

2004年からのITビジネスを組み立てる場合には、携帯電話ユーザーを含めた“オンライン消費者”の心理や行動をしっかりと把握して、彼らに新たな価値観や感動を与えられなければダメだ。「誰とでも簡単に繋がる」「どんな情報も簡単に入手できる」という“魔法の杖”を現実に手に入れた消費者は、これまでとは異なるお金の使い方や遊び方をするようになる。最新技術の動向を先読みするだけでなく、「オンライン消費者の心を読む」ことのできる企業が2004年の商機を掴むことができる。その点を踏まえて新しい年の展望を考えてみたい。

2004年は消費者が主役になる年

 2003年は企業が利益率を切り下げながら苦戦する一方で、とても得をしたのは消費者(顧客)側と言うことができそうだ。不景気の影響で給与所得は下落傾向にあるものの、全体的なデフレ経済と業者間の競争によって商品の価格は安くなっている。それに加えて“顧客満足度”という物差しによって、ショップ側のサービスもかなり充実してきているが、その背景にはネットによって消費者の発言力が強くなったことの影響が大きい。

メーカーやショップでは、顧客満足度が高い商品やサービスを提供することで、消費者から高く評価されて“良い口コミ”が新たな顧客や売上を呼び込むことになるが、逆に、商品の品質や価格設定、サービスの面で消費者からの評判を下げるようなことがあれば“悪い口コミ”が広がり、業績に深刻な影響を及ぼすよう傾向が顕著になってきている。

良い面でも悪い面でも「消費者のネット上での力」が売り手側に大きな影響を与えるようになったのが2003年の特徴といえるだろう。2004年はさらにその傾向が増して、これまでeコマースの立役者といえば「オンラインショップ(売り手)」だったものが、「オンライン消費者(買い手)」へと主役の座が移る年になりそうだ。

国内でeコマース市場が誕生して成長しはじめた1996年〜2002年にかけては、ネットで商品を売るための仕組みやノウハウ作りに長けたオンラインショップが注目を浴びて消費者を引きつけることができたが、2003年以降は各ショップにおけるオンライン販売の手法はかなり平準化して、「消費者側がショップを選別する時代」へと変化してきている。

《国内eコマース市場の変遷》
 国内eコマース市場の変遷


オンライン消費者は加速度的に賢くなる

 数年前まではインターネットに不慣れだった一般の消費者も、家庭からの常時接続が当たり前になった現在では、商品に関する知識や商品の買い方が加速度的に賢くなっている。以前の消費者は、ショップ側がメルマガなどで投げかける“オススメ商品”の情報に対して素直に反応していたものが、近頃では一度その情報を疑った上で、「確かに正しい」というウラを取ってから購入するという行動が顕著になってきた。“ウラを取る”といっても特に難しいことではなく、サーチエンジンにキーワードを投げ込めば、それが正しい情報か、意図的な売り文句かはすぐに判別できてしまうのが、インターネットの便利さでもある。

「商品に対して詳しい情報(商品説明)を加えれば売れる」というセオリーも最近では崩れかけていて、「商品説明が詳しくされたサイト」で情報を入手した後に、業界最安値でその商品を販売するショップを探し出して(検索して)購入するという“賢い消費者”が増えてきた。


メルマガ配信による注文の反応が鈍ってきたことに焦りを感じ始めたショップの中には、“売り文句”を過激にして消費者の気持ちを呼び戻そうとする行動も見られるが、これでは抜本的な改善策にはならないばかりか、さらに顧客の心を離してしまう懸念もある。これまでの注文パターンに変化がみられるようになったショップでは、「賢い消費者が自分の店で商品を購入する理由は何か?」を冷静に判断して、その理由が見あたらなければ必ず新たな提示をする必要がある。「自店が消費者から一番最初に選ばれる条件は何か?」それが見つけられずに、すべての条件において二番手以降のショップは淘汰されてゆく運命を辿ることになるだろう。


2004年eコマース業界はアマゾンの動向に注目

 売上規模や獲得顧客数だけでオンラインショップの優劣を判断するのなら、これからのショップにとって最大のライバルとして着目しておくべきは「アマゾン」であり、それと見劣りのしないショップを作ることが生き残りの条件となってくる。というのも、オンライン書店としてスタートした米アマゾンも、現在では書店の他にCD・DVD、家電、玩具、衣料品・アクセサリーなどを販売する総合ショッピングサイトへと進化している。日本のアマゾンはまだ米国ほど幅広い商品は扱わないものの、米国と同じ路線で取扱い品目を増やしている。

アマゾンが消費者からの支持を強くしている要因としては送料無料キャンペーンと、積極的な値下げ戦略の効果がかなり大きい。日本のアマゾンでは 1,500円以上の商品(新品)はすべて送料を無料とした上で、各商品毎に魅力的な割引価格を提示していることが顧客からの信頼を高めている。もう一つの大手ショッピングサイトとして「楽天」を見てみると、こちらも各店舗が努力してはいるが、商品の仕入ルートや配送方法は各店毎に異なるためにマスメリットが出せないのが弱みだ。また各店舗がモール内での露出度を高めるための広告費用をかけると、どうしてもそのコストを考慮した販売価格を設定せざるを得ないというのが出店者の声。各店舗毎に送料の設定が異なるのも、利用者側としては使いづらい面がある。

アマゾンはwebサイト上のフロント部分における販売手法や、決済を含めたオンライン受注の仕組みだけでなく、在庫管理から発送業務におけるバックヤードで高度なインフラ(設備)やノウハウを確立し、それを他の商材へと転用することで取扱い品目の幅を広げる策をとっているが、これが効果的に回転しはじめると、消費者にとってはこの上なく便利な総合ショッピングサイトとしての完成形に近づくことになる。

アマゾンにとってeコマースの成功戦略とは、まずオンライン販売の基盤となるシステムや物流拠点への設備投資をしておき、それを幅広い商材へと活用していくことで相乗効果を狙っていこうとするものだ。これまでは積極的な設備投資が嵩んでなかなか黒字化ができなかったが、2003年第3四半期の業績では売上高が前年比 33%増、北米市場における販売実績では営業利益が137%増と、儲かる体質へと急速に変化している。アマゾンが日本でも幅広い商材を扱いはじめると、国内のオンラインショップにも影響を与えることになりそうだ。

amazon.com
amazon.co.jp(日本)

《米アマゾンが取り扱っている商品分野》

◎書籍、CD、DVD
◎家電製品
◎玩具、ゲーム
◎ソフトウエア製品
・スポーツ用品
・アウトドア用品
・グルメ食品
・健康器具
・ギフト用品
・アパレル、アクセサリー
◎パソコン製品、周辺機器
・家具、ガーデニング用品
・靴
・自動車用品
・ベビー用品
◎キッチン用品
・ペット用品
・その他

※「◎」は日本のアマゾンでも取り扱っている商材分野


《大規模eコマースサイトが多アイテム化する流れ》
 

第二の流通市場・ネットオークションが与える影響

 これからのeコマース市場を展望する上でオンラインショップ同士の競争以外にも注意を払っておく必要があるのが「ネットオークション」の存在だ。オンライン消費者は数多く存在するショップを選別して上手に買い物をするだけでなく、購入した商品が期待はずれだったり、不要になれば、すぐにネットオークションで換金する術を身につけはじめている。これまでは「買い手」の役割のみを演じていた消費者が二次的な「売り手」へと回ることにより、需要と供給のバランスが変化して、商品の値崩れや商品寿命の短命化も懸念される。

もともとネットオークションはフリーマーケット的な場として登場したものだが、現在ではヤーフーオークション(国内)だけでも月間 370億円を超える取引高にまで成長していることから、流通市場全体としても、その出品動向や落札相場は無視できない存在になっている。自店が販売するのと同じ商品がオークションに多数出品されて落札相場が安ければ、それが現在の商品相場として認めなくてはならない。

これまでの小売業を考える場合には、新品の販売動向だけを気にしていればよかったものが、ネットオークションが活況になってからは、消費者から出品される中古品の取引動向も含めた全体的な商品の供給量と取引相場を見ながら、自店の商材を扱っていく必要がある。

《オークションが形成する二次流通市場の流れ》

 

新品販売だけに固執しないショップ経営の視点

 流通業界の中で二次的なオークション市場が拡大していくと、これまで新品の購入を当然のこととしていた消費者も、個人が出品した中古品の購入へと流れていってしまう。これは新品を販売することで収益を上げてきた小売店にとって深刻な問題といえるだろう。

そこでこれからの小売店は新品の販売だけでなく、中古品の販売も並行して行なうという商売の発想転換も意識しておきたい。小売業者は「商品を消費者に提供(売る)こと」が目的であって、それが新品でも中古でもその役割は変わらない。品質と価格の条件を検討した上で、新品を買うか中古を買うかの選択は、消費者側の判断に任せるという考え方だ。

この発想を既にシステムとして構築しているのが前出の「アマゾン」で、同サイトでは各商材分野(書籍、CD、家電、その他)の新品販売に加えて、顧客が購入後の商品を二次的に個人売買できる「Amazonマーケットプレイス」というサービスを実施している。これはオークションのように購入希望者が価格を競り上げるのではなく、販売希望者が望む売値を設定して出品登録しておく中古品取引の仕組みをサイト内で実現したものだ。

個人から中古品が出品されている商材については、アマゾンのサイト内で新品と中古品が同一ページ上に表示されるため、その商品を買い求めようとする消費者は、好きなほうを選択して購入することができる。一般ユーザーから出品された中古品が購入された場合には、アマゾンは出品者から販売価格の15%を手数料として徴収する形で収益を得る仕組みになっている。

Amazonマーケットプレイス

従来のオンラインショップが得られる収益は新品の販売からのみで、その後の二次的な中古取引になるとネットオークションへと市場が移動していた。これを「Amazonマーケットプレイス」では中古取引の段階に移っても、顧客を自社のサイト内に留めることができる。新品と中古品の販売を並行して行なう流通形態は「ループセラー」とも呼ばれるが、このような業態へとオンラインショップが進化することで、ネットオークションに流れる中古ユーザーを自店へと引き戻すことも可能になるわけだ。


中小オンラインショップが生き残る道

 ここまで紹介してきたことを個々のオンラインショップが実現しようとすれば大幅なシステムの見直しやバックヤードの拡充をしていく必要があり、それができるのは資本力と豊富な人材を持つ一部のeコマース企業に限られてくるだろう。すべてのオンラインショップがその道を進むことが正しいわけではない。

元々のオンラインショップの利点といえば、小資本で開業して独自のアイディアで販売手法を開拓しては顧客や売上を拡大してけることだった。それがいつの間にか「お手本を学ぶこと」に慣れてしまい「自分で新しい売り方を生み出すこと」を見失いかけている。しかし教科書やお手本から学べることは、他のショップでも同様に学べるために、同じレベルの競合や同業者が増えて、だんだんと商売が難しくなってしまう。その行く先にあるのは資本力の差による優勝劣敗だ。

しかし消費者側の立場で考えてみると、必ずしもオンラインショップが大規模化、企業化することを望んでいるわけではない。それよりも他店にはない“個性や特徴”を守り通すことのほうが、消費者にとっては魅力的に感じることもある。

そこで中小オンラインショップが資本競争の波に飲み込まれないで2004年以降も勝ち残っていくために意識しておくべきことは「真似をされないこと」と「飽きられないこと」である。この二つの項目さえ守り通すことができれば、売上高でナンバーワンを目指さなくても、高利益体質のショップ経営をしていける道がある。

《真似されないこと…とは》

 商売の世界では「真似されること」が常識である。「○○という店が繁盛している」という噂が流れると、他の商売人達はその店を真似て同じことをしようとするもの。たとえ後発でも資本力のある企業ならば、先行者が苦労して開拓した市場や顧客を奪い取ることも難しくはない。

そこで“他社が真似をしてくること”を前提に、それでも勝てるだけのビジネスを組み立ててみることが大切で、自店が顧客に与えられる商品やサービスの特徴が他社に 100%コピーされてしまうものは商売として長続きしない。たとえライバルが真似したくても真似することができない自店の強みを明確に持つことによって、小規模でも安定した経営を維持していくことが可能だ。

具体的には、やはり「他店では販売することができない商品を持つ」ということが有効だろう。その点では、単に商品をメーカーから仕入れて販売するだけの流通業ではなく、職人的な優れた製作技術やオーダーメイドに対応できるショップが強い。このようなショップでは高品質を維持した製造能力に限界があることから、売上の伸びにも限界値があるが、逆に数量限定の販売をすることによって、商品の付加価値が高められる。

商売の基本は「需要と供給のバランスを読む」ことにあるが、「真似されない」ということは商品の需給バランスをライバル達によって崩されないことを意味する。需給バランスが崩れなければ、値崩れを起こすこともなく安定利益を維持した商売をしていくことができるはずだ。

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《飽きられないこと…とは》

 もう一つの生き残り策として考慮しておきたいのが「消費者から飽きられないショップ」を維持していくという点だ。昨今のオンライン消費者は情報には敏感に反応する一方で、すぐに興味が冷めて他の新しい商品やショップへと移っていく傾向が顕著になってきている。飲食業界でもグルメ雑誌に“注目のお店”として取り上げられると、掲載から数日間は行列ができるほど賑わうが、半年も経つとその賑わいが嘘だったかのように閑散としてしまうケースが多いという。

消費者の心理として「大きな期待を抱いた時ほど、飽きる(冷める)のも早い」という法則がある。巧みな売り文句、または他人の口コミ、メディアの情報などによって消費者が過剰な期待をショップ側に抱いてしまうと、その反動として飽きられるまでの時間が狭まってしまうことも考慮しておきたい。

最もいけないのは、消費者が大きな期待を持って注文した商品が、実際に届いて箱を開けてみた時に「がっかりした、期待はずれだった」という失望感を抱かせてしまうことである。オンライン消費者は一度失望させられたショップでは二度と買い物をしなくなる。「期待と失望」は常に一体の消費者心理と理解した上で、飽きられない商品の提案方法や、売り方を模索していくことが求められる。


2004年の売れ筋は、心を満たしてくれるもの

 2004年のビジネスを成功させるには「オンライン消費者の心理を読むことが大切」という視点から考察を進めてきたが、現代の消費者が求めている商品の特徴としては「心の満足度が得られるもの」を柱として考えてみたい。

100円ショップが得意とするような“激安商品”だけでも生活することはできるほどのデフレ社会だが、その一方で“超”が付く高級品(極上品)の売上が伸びている。そこで2004年には「お金に余裕のある大人」をターゲットとした高額商品が多数登場してくる予定だ。これらの極上品は、供給量(販売量)の設定さえ間違わなければ、相応の人気て売れることだろう。

ただし、これらの極上品を購入する消費者心理は、バブル時代のような「贅沢をしたい気持ち」とは異なり「自分の心を満たしてくれるものを探したい」という気持ちが強い。会社(学校)や家庭では自分の存在価値がななかな見つけられずに悩んでいるのは、世代を超えた現代人の特徴。そこで自分が認められるための道具や場所、仲間が見つけられる商品やサービスへの関心が高くなるという仮説が立つ。

例えば、ワインを購入するにあたって「自分が飲んで楽しむ」だけなら安いワインでも十分だが、そこに「友人・知人や他のワイン愛飲者からワイン通として認められる」という要素が加わると、高級ワインのコレクターへの道を歩むことになるのだろう。このような“自己実現”をショップ側が演出してあげるには、高級な商品をただ販売するのではなく、顧客が持つ商品知識やコレクションが広く認知されるような仕掛け作りも必要になるだろう。
 

2004年のIT業界・eコマース業界を前年までと同様の視点だけで見れば大きな変化(商機)を読みとることは難しい。しかしインターネットを気軽に使いこなすようになった消費者の心理や行動は、この一年で大きく変化していくことが予測できる。加速度的に賢くなるオンライン消費者の心を満たしたり、感動させられる商品やサービスとは何か、それを考えるところに2004年を攻略する鍵が隠されている。

■JNEWS LETTER関連情報
 JNEWS LETTER 2003.1.7
2003年有望ビジネスへの着目点(ネットビジネスの発想転換)
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