身体の不調や症状を気軽に相談できる「かかり付け医」がいない人の割合は若い世代ほど多く、開業医の高齢化により、今後は更に増えていくことが予測される。そこに向けてオンラインで健康相談ができる簡易クリニックの開発にアマゾンなどが参入しはじめている(JNEWSについてトップページ
かかりつけ医不在となる時代に成長する簡易クリニック

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JNEWS会員配信日 2023/1/18

 自分の体調を長年にわたり把握してくれて、健康に不安が生じた時には気軽に相談できる「かかりつけ医」の存在が居るのと居ないのでは、寿命にも差が生じてくる。しかし、かかりつけ医の不足は深刻化してきている。

米国医科大学協会の調査によると、2018年には、プライマリケア医(かかりつけ医)に14,900人の不足が生じていたが、2033年には最大で55,200人の不足になると予測している。米国の人口は2033年までに10.4%増加するが、その中でも65歳以上の人口は41.5%増加して、健康を気遣う高齢患者が増えるためだ。

その一方で、現役医師の5人に2人以上は10年以内に65歳以上となり、引退の時期に差し掛かる。医師の中でも、かかりつけ医の数が減少するのは、労働生産性が低いことも関係しており、若い医師の中では、かかりつけ医として開業するよりも、病院に勤務する専門医として高収入を目指す道のほうが人気となっている。
医師の年収を比較しても、かかりつけ医は平均26万ドルに対して、専門医は平均36万ドルという差がある。

《米国専門医の平均年収》

米国のプライマリケア医(かかりつけ医)は、平均で2400人の患者を担当して、定期的な診療、薬の処方、急病への対応などを行っている。医療レセプトのデータから、医師1日あたりの仕事量を集計した研究によると、予防ケアが14.1時間、慢性疾患の診療が7.2時間、急患の対応に2.2時間、文書作成などに3.2時間を費やしており、合計26.7時間が必要になる。チームで作業を分担すれば仕事量は軽減されるが、それでも完全なオーバーワークの状態に陥っており、医師の健康悪化や燃え尽き症候群が心配されている。

Revisiting the Time Needed to Provide Adult Primary Care

この問題を解決するには、かかりつけ医が担当する患者の数を減らすか、対面をオンラインに切り替えて、診療の効率化を進めていくしかない。いずれにしても、今後は「かかりつけ医を持てない患者層」が増えていくことになり、その層が大手小売チェーンやアマゾンが手掛ける簡易クリニックのターゲット層と重なってくる。

Amazon Clinic

日本の統計でも、病気になるといつも相談して、きまって診察を受ける身近な医師(かかりつけ医)がいる人は、国民全体の4割程度で、残りの6割決まった医師や医療機関を持たない層である。持病がない20~30代の若い層ほど、かかりつけ医不在となるため、オンライン診療を中心とした簡易クリニックが取り込める潜在層は厚いことになる。

《かかりつけの医師がいる割合(日本)》

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・デジタル変革で生じる薬局業界の再編
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・高齢者をテクノロジーで支えるエイジテック企業の価値
・地域開業医を中心に展開される日本版オンライン診療

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