米国ペット業界では、ペットシッターと散歩代行のシェアリングサービスを起点とした業界再編が起きている。ペットオーナー数十万人の会員登録数をベースに、ペットフードやペット保険などの販路としてもシェアを高めている (JNEWSについて
シェアリングサービスを起点としたペット業界再編

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 高齢者がペットを飼うことにより、身体やメンタル面の健康効果が高まることは、医学的にも実証されている。しかし、高齢者にとっては「十分に世話ができるかわからない」という不安が、ペットを飼うことに踏み切れない要因になっている。そこに向けては、飼い主同士が支え合える各種のシェアリングサービスが欧米では成長してきている。

Rover.com」は、米国最大級のペット飼育に関するシェアリング・プラットフォームで、飼い主の留守中に、ペットの世話や散歩などができるシッターの仲介を行っている。たとえば、一人暮らしの飼い主が数日間の入院をしなくてはいけないケースで、Rover.com にアクセスすれば自宅周辺で愛犬の世話をしてくれる人を見つけることができる。

世話の形態には、ペットホテルのようにシッターの家で愛犬を預かってもらえる「Dog Boarding」、飼い主の家でペットの世話をしながら留守番をする「HouseSitting」、飼い主の留守宅を定期的に巡回(1回30分~1時間)して、食事を与えたり清掃をする「Drop-In Visits」、子どもの保育園のように昼間の時間帯だけ犬を預かって、しつけのトレーニングなども行う「Doggy Day Care」、犬の散歩のみを代行する「Dog Walking」などのサービスがある。

いずれも、世話を担当するのはペット好きの個人で、Rover社とは請負契約の関係になる。サービスの料金設定は、各シッターの経験やスキルによって自由に決めることができるが、1回30分の巡回訪問や散歩は約15ドル、一晩の世話をするハウスシッティングのコースでも30~40ドルと、従来の業者に依頼するよりも安価な相場が形成されている。

「Rover.com」は、2011年にワシントン大学の学生が立ち上げた事業だが、現在は、全米の1万都市で20万人以上のシッターが会員登録をして、年間の予約取扱額は1億ドル以上に急成長している。この事業に対しては、大手のベンチャーキャピタルが次々と投資をして、トータルでは1億5,600万ドルの資金を調達している。

この資金力を背景に、2017年にはライバル業者の「DogVacay」を買収することで事業規模を拡大している。現在は、ソフトバンクも出資をする、散歩代行サービスをメインにした「Wag」と、「Rover.com」とが、ペットシッター仲介プラットフォームの二強と言われおり、熾烈なシェア争いをしている。これらの業者は、ペットに関わるシッターと飼い主、両方のネットワークを構築しているため、ペットフード、ペット用品、ペット保険などの販路としても活用しやすく、ペットビジネス再編の中核的な存在になるという見方がされている。

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JNEWS LETTER 2018.7.26
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