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フリーランス・ジャーナリストへの道筋と
市民メディアの台頭
JNEWS会員配信日 2013/9/22

 新聞社のビジネスが崩壊していることの背景には、これまで記事制作を担当してきた人材のコストが高いことも関係している。日本の大手新聞社では、30代記者の平均年収が 800万円台、管理職になれば1500万円以上という水準である。新聞に限らず、マスコミ各社の給料が高いのは、広告収入によって潤ってきたからだ。しかし今後も、その給与水準を維持していくことは難しいことから、給与体系の見直しや人員削減によるリストラも実行されはじめている。

一方で、今では、一般人でも身近なニュースをブログやSNSに投稿できるようになったことから、もっとローコストでニュースを作る仕組みも考案されてきている。

英国に拠点を置く「Demotix」は、プロとアマチュアの区別なく、ジャーナリストとしてニュース記事を投稿できるプラットフォームで、欧州、北米、アジア、日本にも情報収集のネットワークを広げている。


求めている情報は、事件、事故、災害、地域イベント、スポーツ、ビジネスなどの写真に、その内容を解説した文章を加えたもので、投稿された写真は、審査をクリアーすると登録される。ただし、これは一般ユーザーに公開することではなく、新聞社、報道機関、テレビ、ニュースサイトなどのメディアに販売することを目的としている。写真が売れた場合には、Demotixと投稿者とが、50%ずつ売上を分配する。



メディアから人気の高い写真(売れる写真)の特徴は、各地で起こっているデモや暴動などの様子を撮影したもの、ローカルな視点で途上国などの生活を撮影したもの、まだ広く知られていない社会問題の実態を捉えたものなどである。

写真の価格は、掲載するメディアの種類や掲載期間によってライセンス体系が分かれており、1つのメディアから購入されると70ドル前後の売上になる。しかし、スクープ的な映像であれば、同時に多数のメディアから購入されるため、1枚の写真が数万ドルになることもある。


また、米国を拠点にしている「Allvoices」でも、ニュースとなる記事を投稿することで、収益化することができる。こちらは、サイト自体がニュース媒体になっており、記事の内容は、オリジナリティや信憑性がチェックされた後に掲載され、記事が読まれたページビューに応じて、報酬(広告収入)が支払われる仕組みになっている。

その金額は、1000ページビューあたり 0.5〜3ドルと、決して高い単価ではないが、記事は同サイト上で掲載される他に、外部のニュースサイトにもシンジケートされているため、人気の記事になれば、10万件以上のアクセスを集めることができる。アクセスが 12万件として、1.5ドル/1000ページビューの報酬単価なら、180ドル(約1.8万円)の収入だ。

記事に対する評価は、独自の特許技術によってスコア化されて、投稿を続けることで「Stringer(初級レベル)」「Reporter(中級レベル)」「Anchor(トップレベル)」と、記者としてのランクを高めていくことができ、トップレベルにまで到達すれば、メディア企業からの仕事を直接受けることも可能になる。



 新聞社や出版社にしてみると、記者を社員として大量に抱えるよりも、頭角を現してきたフリーの記者を活用したほうが、ニュースの制作コストは安くなる。そのためのプラットフォームとして、「Allvoices」のようなサイトは使える。

個人のブロガーの中で、さらに本格的な情報発信を“仕事”としていきたい人にとっても、ニュース記事の投稿が、ジャーナリストとしてのスキルを磨くトレーニングになる。これからは、報道機関に勤めた経験が無くても、実力さえあればプロのジャーナリストとして活躍できる道筋は見つけることができる。


この記事の核となる項目
 ●新聞社の収益体質を改善する電子広告収入
 ●広告に代わるブランドジャーナリズムの是非
 ●地方新聞社の再編と広告シンジケーションによる収益化
 ●市民記者による新たな記事制作のスタイル
 ●フリーランス化するジャーナリストの仕事のワークスタイル
 ●アマチュア記者への収入分配モデル
 ●ジャーナリストとメディアのマッチングモデル
 ●市民の協力で支えるニュースメディアの在り方
 ●市民クラウドによる記事制作の支援モデル
 ●電子出版で変わる消費者の購買スタイルと広告マーケティング
 ●電波に依存しないテレビビジネス再編とコードカッター争奪戦
 ●広告に翻弄される「雑誌」の収益構造と電子マガジンの行方
 ●新聞チラシ広告に変わるオンラインタイムセールの台頭
 ●著作権料で稼ぐカメラマンと肖像権を売るモデルビジネス


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