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オンラインショップが直面する
「売上高の壁」と客単価の関係
written in 1999/12/5

 オンラインショップ運営を2〜3年続けていると、ある時期から売上が伸び悩むことがある。ショップ開設から数ヶ月間の全く売れない時期を乗り越えて、月商が50万円を超えたあたりから右肩上がりの成長が続くが、月商200〜300万円程度にまで到達すると、そこから更に売上を伸ばすのが難しい。これが現在、多くの電子商店がぶつかっている壁である。しかし小売業における「売上高の壁」は古くから実店舗でも抱えてきた問題であり、それを解決する手段も探求されている。

 最も初歩的な商売の公式から問題解決のヒントを見つけてみよう。

    ◎売上高=客数×客単価

 売上高を構成している要素は「客数」と「客単価」に大別できるが、売上が伸び悩んでいる場合にはいずれかの要素が停滞していることに原因がある。中小零細実店舗の場合には店舗面積や立地条件から客数の増加には低い限界値がある。そのため小さいながらも儲けている店舗の大半は、客単価が他店よりも極めて高いという特徴を持つ。

 逆に、客数を伸ばすために客単価を下げる、つまり安売り路線に走ることは中小店舗にとって大きなリスクとなる。商売の歴史の中では、一時的な来店客数の上昇はあっても長い目で見て「客単価を低下させることで客数が増えた」ケースは非常に少ない。

 つまり中小店舗が競争の中で勝ち残るためには無理に客数を伸ばそうとするのではなく、客単価を上昇させるための努力をすることが最も効果的であることがわかる。具体的には低価格商品ではなく高額商品を売るための努力とノウハウ作りが大切だ。この考え方はそのままオンラインショップ運営にもあてはまる。


オンラインショップの客数と客単価

 実店舗の来店客数に該当する指標がオンラインショップではアクセス数になるが、この数値を伸ばし続けることには限界がある。ポータルサイトや大手ショッピングモールを除いた通常の電子商店では繁盛店でもトップページへのアクセス数が1日200〜500といったところ。この数値がすぐに1000、2000と増加していくことはない。

 そのアクセス数(来店客)から得られる実際の注文件数は平均して1〜3%、繁盛店では8%程度を維持しているが、この注文率に関しても各々のショップでの数値は安定している。つまり先月まで注文率1%だったショップが翌月に突然8%に上昇することはほとんどない。

 つまりオンラインショップの来店客数や注文件数には、そのショップの安定した基準値というのが存在している。これが「売上高の壁」を作っていると考えればわかりやすい。

 オンラインショップには各カテゴリー毎に人気店(繁盛店)が存在しているが、その売上高を比較してみると 200万円〜1000万円超(月商)と差が開きつつある。しかしこれらのショップの来店客数や注文件数には売上格差ほどの差はなく、それを生みだしているのが客単価の違いなのだ。

  • 平均客単価5万円のショップが月100件の注文を受ければ月商500万円
  • 平均客単価5千円のショップが月100件の注文を受ければ月商50万円

 「インターネット上で商品を販売する」というノウハウには5千円の商品でも5万円の商品でも共通した部分が多いことを考えれば、小規模オンラインショップが「売上高の壁」を崩すための戦略としては、アクセス数や注文件数を伸ばすことよりも客単価を上昇させることに速効性があることを意識しておきたい。

 なお、長期的な戦略としてはもちろんアクセス数や注文件数を伸ばすことも忘れてはならない。

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