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利益率を重視した
ネットビジネス戦略の考え方
written in 1999/10/24

 最近のネットビジネスはSOHOや小規模ベンチャー企業にとってかなり厳しい。既に資本力を持った大手企業が各分野に参入しているため、ちょっとしたアイディアや努力だけでは簡単には成功できないのが現状だ。特に競争が厳しいのがインフラ関連ビジネスで、回線容量やハードウエア性能、データベース機能などに大きく依存したビジネスには、大手企業が最も触手を伸ばしやすい。

 また流通関連ビジネスにも資本力が大きな影響力を及ぼす。EC市場では「売れ筋」と認知されている商材に多数の競合者が群がるために、その中で勝ち組として生き残れるのはごく一部の企業に過ぎない。国内では小規模オンラインショップが健闘しているが、彼等は、いわゆる既存の売れ筋商品に手を出すのではなく、「自分が最も秀でたノウハウ・知識を持つ商品」を独自に開発した手法で販売することで自分達の市場、商圏を維持している。

 そしてコンテンツ関連ビジネスに関しては未開拓市場がまだ広く残っている。ただし無形コンテンツをどの様にビジネス化するのかは、定番ノウハウが確立されていないために独自に手法を開発していく必要がある。

 いずれのカテゴリーにしても具体的なビジネスとして着手する前に、十分に検討しておかなければいけないのが、現在の市場の競合状況と、今後の競合者対策である。これを判断するためには様々な方法が考えられるが、最もわかりやすいのが粗利益率を分析してみることである。

 それぞれのビジネスモデルにはライフサイクルが存在していて(導入期→成長期→競争期→成熟期→衰退期)という周期を進む。その過程で粗利益率に関しては導入期が最も高いが、その後の競合状況により徐々に低下していき衰退期が最も低くなることが多い。つまり新規参入検討中の事業の粗利益率が低い場合には、既に競合状態に陥っている可能性が高い。

 また、導入期のビジネスモデルであっても「仲介手数料型」のように数%台の低い粗利益で広く稼ごうとするものもある。しかし、この種の低粗利益型事業を成功させるためには大きな売上高を最初から狙う必要があるために小規模ベンチャーにとっては負担が大きいことも最初から頭に入れておきたい。


粗利益率による目標売上高の設定

 同じ年間粗利益1000万円を稼ごうとする事業でも、粗利益率設定に差があれば目標達成売上高は大きく異なる。売上規模は設備投資額や必要とする従業員数にも深く影響してくるために、低い粗利益率で大きな売上高を狙うよりも、小さな売上高でも高い粗利益率が確保されるビジネスの方が事業としては魅力的だ。

<粗利益率による目標売上高>


 年間粗利益1000万円という数字はSOHOとして1人でようやく商売がしていける程度の水準だが、粗利益 3%や 5%の設定ではとても1人では達成できない売上高であることに気付くはずだ。例えば、オンラインショップ経営における平均的な粗利益率は40%前後だが、将来の競合出現により粗利益率が低下すれば、その分を埋めるだけの売上高を上昇させなければいけない。それが自社の経営体力やスタッフ体制で可能なのか不可能なのかを、事業立ち上げの前段階から検討しておくことが大切だ。

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