外国人労働者向けファイナンス事業の仕組みと問題点

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/10/9

 技能実習制度で来日する外国人の大半は、開発途上国で経済的にも余裕が無い若者であることから、隣接した市場として、彼らに渡航費用などを融資するファイナンス事業(個人向けの小口保融資)も注目されている。

名古屋を拠点として、古本や中古パソコンなどのリサイクル事業で成長し、2016年に東証マザーズ上場をした「リネットジャパングループ」では、本業で築いたカンボジアとのコネクションを活かして、技能実習生の送り出し事業を現地の子会社から立ち上げている。カンボジアの国立職業訓練校との提携により、自動車整備士の育成を手始めとして、3年後には年間1,000人の人材を、日本に送り出す計画を立てている。それと共に、カンボジアのマイクロファイナンス機関「チャムロン(Chamroeun)」を買収して、現地でのファイナンス事業にも乗り出している。

リネットジャパングループ

また、石油の精製、販売を本業とする出光興産では、カンボジアに「出光セゾンマイクロファイナンス」という子会社を2016年に設立して、日本へ来日する技術実習生に対して渡航資金の貸し付けと、日本での借り換えを支援する事業をスタートさせている。

カンボジアのマイクロファイナンスは、貸付金利が平均で年率18%と高いため、渡航資金を借り続けたまま日本で就労すれば、金利負担が非常に大きなものになってしまう。そこで来日後に、日本の金融サービスとして資金の借り換えを行えば、カンボジアよりも安い金利設定に抑えることができる。

具体的なスキームは、カンボジアから出国する技術実習生に対して、出光セゾンマイクロファイナンスが渡航資金の融資をする。来日後は、提携先の「SBIソーシャルレンディング」が、日本の個人投資家から1口1万円からの小口で調達した資金を実習生に対して貸し付け、カンボジアで借りた資金を一括返済する流れになっている。

実習生が日本で借りた資金は、働いた給料の中から毎月返すことになるが、返済が滞った場合のリスクは、出資をした個人投資家が背負うことになる。その見返りとして、投資家に還元される予定年間利回りは10%に設定されている。

SBISLカンボジア技能実習生支援ローンファンド

《カンボジア技術実習生向けの融資スキーム》

 日本を目指す技術実習生の多くは、農村部に住む貧困層の若者であり、金融業者からの借り入れによって、研修費や渡航資金を用意している。その点では、日本の外国人就労が合法化される中で、彼らに資金を貸し出すマイクロファイナンス事業は、人材の送り出し事業に加えて、もう一つのビジネスチャンスになっている。

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