介護業界は、収益の6割以上が人件費を占めており、介護人材の確保が重要な課題になっている。それに伴い介護人材を派遣、紹介するビジネスが伸びている。需要があるのに老人ホームの空室がみられるのは、介護人材の不足が主な原因。
人に依存する介護業界の採算構造と介護人材ビジネス

JNEWS会員配信日 2018/8/30

 日本の総人口に対して65歳以上の人口が占める割合(高齢化率)は2016年の時点では27.3%、2025年には30%を超すことが予測されている。少子化によって総人口が減少していく中、高齢化率の上昇に歯止めがかかることはなく、要介護者の増加は、国全体にとっての課題になることは間違いない。

将来にかけての家族構成も、小世帯化が進んでいくため、これからの介護生活は、家族に頼るのではなく、業者のサービスを利用することが主流になっていく。日本の介護業界は、国の介護保険制度を基盤として成り立っているが、その保険給付額は2017年の時点で約10兆円、それが2025年には21兆円にまで増えることが試算されている。

《介護保険の給付総額と保険料の推移》

この数字からみれば、介護業界は成長産業といえるが、各施設の経営は厳しい状況にある。特別養護老人ホームを例にすると、介護報酬による収入は毎月安定しているものの、介護スタッフの人件費負担は重くて、収益の65%を占めている。
その他の経費や建物の借入金返済を差し引くと、収支が赤字に陥っている施設が全体の3~4割となっている。

《特別養護老人ホームの収支状況(月間の平均値)》

《定員数別にみた特別養護老人ホームの赤字割合》

福祉医療機構の調査によると、特養老人ホームへの“入居待ち”をしている待機者数は、定員1名に対して1.75人の倍率で、1施設あたりの平均待機者数は117人となっている。それでも施設の稼働率は約95%で、5%前後の空室がみられるのは、介護スタッフの人手不足が主な原因である。特に、国家資格の「介護福祉士」を保有する人材の確保が難しい。

その点からすると、介護ビジネスに参入する中では、介護人材の確保や育成を担う事業への有望度は高い。日本の介護サービスを支えていく上では、高齢者ケアの専門人材を増やしていくことが急務の課題だが、この業界は24時間体制の交代勤務が主体で、体力的な負担も重いわりに給料は低いことから、離職率も高いのが実態である。

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・「介護ビザ」による外国人介護士招聘ビジネス
・外国人へとシフトする介護人材ビジネス
・フリーランス介護士としての働き方と新サービス
・高齢者の生活をサポートするライドシェアのニッチ市場開拓
・介護に隣接した旅行エスコトート業者のビジネスモデル
・独居高齢者の生活を見守るスマートデバイス開発
・介護業界への転職で築く業界人脈→独立開業への起業モデル
・経済連携による国境消滅で起こる介護人材の国際調達ビジネス

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