カジノを中心とした統合リゾートでは、カジノで7割以上の収益を稼ぎ、ホテルや飲食サービスの赤字分を補填するビジネスモデル。そのため、観光やビジネス出張で訪れた旅行者に対しても、カジノの遊戯時間が長くような仕掛けが施されている。
カジノリゾート施設のビジネスモデルとゲームの勝率

JNEWS会員配信日 2017/1/9

 日本が計画している「カジノ複合観光施設」は、シンガポールのモデルに近いと言われている。シンガポールの国土は狭く、目玉となる観光資源は少ないため、外国人旅行者によるインバウンド収入を獲得する目的で、カジノが運営されている。

2005年にカジノの解禁が公式に決定し、2010年からマリーナベイ地区とセントーサ島の2ヶ所で、カジノを含めたホテル、物販、飲食、コンサートホール、劇場などがある統合リゾート施設(IR)が開業している。マリーナベイ地区のIR施設「マリーナ・ベイ・サンズ」だけでも、投資額は 約5,000億円の巨大プロジェクトであり、シンガポール政府との間で開発契約を結んだ、米国のラスベガス・サンズ社が、施設の建設から運営までを担当している。

マリーナ・ベイ・サンズは、豪華ホテル(5つ星)の中で様々なレジャーやエンターテイメントを楽しめる構造になっており、ビジネスの大規模な会議や学会を開催することも可能。


ホテル内にあるカジノ施設には、現地のシンガポール国籍者は入場税(100シンガポールドル:約8,000円)を払う必要があるが、外国人は無料で入場することができる。カジノは年中無休、24時間営業で、約1500台のスロットマシン、600台のゲームテーブルがある。来場者の大半はアジア人のため、場内の雰囲気は米ラスベガスとは異なるものだ。

このようなホテルを母体とした統合リゾート施設では、宿泊料金や飲食サービスによる売上だけでは大幅な赤字で、収益の大半をカジノから賄う構造になっている。マリーナ・ベイ・サンズを運営している、ラスベガス・サンズ社の決算資料でも、売上高の7割以上をカジノによって稼いでいることがわかる。

 サンズ社の資料によると、カジノでプレイヤーが勝てる確率は、テーブルゲームは平均すると総ゲーム数に対して15%前後、スロットマシンのホールド率(Win回数÷ハンドル回数)は3~7%に設定されており、長時間のプレイをするほど、トータルでは胴元が儲かる仕組みになっている。そのため、カジノで大損をしないためには、冷静さを失わずに、短時間で切り上げるのが良い。

最近では、カジノ付きのリゾート施設を訪れる富裕層の中でも、カジノはあまりやらずに、他のレジャーや娯楽で楽しむ人達が増えている。これは健全で賢い遊び方だが、施設側にとってはカジノの遊戯時間が減少すれば、従来のビジネスモデルが成り立たなくなってしまう。

そのため、世界のカジノ施設はどこも VIPメンバー制度を設けている。これは「コンプ・プログラム」とも呼ばれるもので、ゲームに賭ける金額やゲーム時間の条件をクリアーすると、飲食代やホテルの宿泊費など、各種のサービスが無料になる特典が用意されている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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