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電子書籍の印税システムに隠された
罠にはまらない著者の知恵
written in 2010/1/26

 1970年代の人気テレビドラマといえば、視聴率は30%台というのが普通だったが、いまならゴールデンタイムでも20%を越すことは希で、15%前後なら合格点と言われている。昔の娯楽といえば「テレビを観ること」が筆頭に挙げられていたが、今はインターネット、テレビゲーム、友達とのメールなど、時間の使い方が多様化したことで、国民的な人気番組が少なくなっていることは仕方がないことかもしれない。

国民的ヒット商品が少なくなっているのは、出版分野にも言えることで、2009年に最も売れた本といえば、『1Q84(村上春樹)』が1・2巻を合わせて 220万部だが、その他というと『読めそうで読めない間違いやすい漢字(出口宗和)』100万部、『「脳にいいこと」だけをやりなさい(マーシー・シャイモフ)』74万部、という顔ぶれで、あまりピンと来ない人も多いのではないだろうか。

村上春樹の本にしても、1987年に出版された「ノルウェイの森」は単行本・文庫本を合わせて1000万部以上が売れており、そのような大ヒット作は近年ではみられなくなってしまった。出版社が打つ広告や雑誌のキャッチコピーだけで大勢の人が飛びついたのは昔のことで、今ならネットでたくさんの書評をチェックできるため、お気に入りの作家や本の選択肢は多様化している。

これまで大手出版社の収益構造は、100万部以上売れるミリオンセラー本による収入を柱として、数千部しか売れない本の赤字分を補ってきた。しかしミリオンヒットが出にくくなった近年では、出版社の倒産や廃業が相次いでいる。

それに代わる動きとして、米国ではアマゾンが電子書籍市場へ専用端末の「キンドル(Kindle)」で本格参入し、昨年末には同サイトで売れる本の約半分が電子書籍だというリリースまで発表している。それに伴い日本でも、紙書籍の分野で仕事をしてきた人達が「これからは電子書籍だ」とざわめき立っている。この波に上手く乗ることができれば、製本や印刷にかかるコストや大量在庫のリスクを抱えることなく、高い印税を得ることができるという思惑だ。

さらにアマゾンは、キンドル版電子書籍の印税を35%から70%にまで引き上げることを発表した。紙書籍の印税が10%前後であることからすると、これは7倍ということで、本を売ることを生業としている人にとっては明るい未来が拓けるという気運が高まっている。

ところがアマゾンからの誘惑を素直に受け入れるのには危険が伴う。これから電子書籍をビジネスにしていこうとする人達にとっては、ビジネスの規模をかなり縮小していかないと、キンドル書籍での黒字化は難しい。これは電子書籍の分野に限らず、ネットでの販売が容易にできるようになった商材すべてに言えることで、今後のビジネスはラージ(L)からSサイズへとモデル転換していくことになるだろう。それがどういうことなのか、説明していこう。
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この記事の核となる項目
 ●市場の拡大なき電子商戦の攻防
 ●DTPの普及から始まった書籍出版業界の異変
 ●知的プロの理想的な収益構造と原稿料収入
 ●一般世帯が情報料として費やしているコストの内訳
 ●アマゾンが著者に仕掛けた甘い誘惑と罠
 ●キンドル版電子書籍のビジネスモデル
 ●電子書籍における印税率のトリック
 ●紙書籍(商業出版)の印税モデル解説
 ●アマゾンが考える電子書籍の採算構造
 ●著者の努力に委ねられる電子書籍の売り方
 ●アフィリエイトによる電子書籍の販促動向
 ●柔軟な発想で捉えるべき“未来の本”とは
 ●多様化する本のフォーマット種類と価格設定
 ●電子書籍の連載シリーズ+紙書籍化のモデル
 ●新聞社の有料電子化モデルについての考察
 ●eコマース事業の薄利体質を改善する電子商材の開拓商機
 ●頭で稼ぐ職業に存在する「収入と時間の壁」の乗り越え方


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JNEWS LETTER 2010.1.26
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