儲かる商売の裏側
  
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  米国で一人暮らしをする際には、家具レンタル業者のショールームに出かけると、様々な家具を数年のサイクルで借りられる他、予算内で収まるようなインテリアのコーディネートまでをしてもらえる。これは日本にはないレンタルサービスの形態として注目されている。その採算性はどうなっているのかを解説。
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レンタル家具ショップは儲かる商売か?
その仕組みと採算
written in 2007/8/29

 「モノを扱う商売」として真っ先に思いつくのが小売業だろう。百貨店、スーパー、コンビニ、専門店、オンラインショップなど、店の形態に違いはあっても、これらすべては商品を売る小売業である。開業率をみても小売業は飲食業に次いで人気がある業種だ。しかし小売店経営者の中には「物を売るのが何よりも好きだから」という理由で起業したというよりも、「小売業なら自分でもできそうだ」「小売業ならそこそこ儲けられるのではないか?」という動機で始めた人も少なくない。「商売=物を売ること=小売業」という図式が常識として成り立ってきた歴史は古い。

ところが“モノ余りの時代”といわれる中で、純粋な小売業として本当に儲けている人をあまり見かけなくなっている。小売業の売上高から仕入原価や店舗家賃、人件費、広告費などを差し引いた営業利益として残るのは、わずか1〜3%というのが現在の平均値。これは一日に百万円の売り上げがある店でも、2〜3万円の利益にしかならないことを意味している。ネット販売も例外ではなく、実店舗の出店コストや家賃がかからない代わりに、商品の梱包作業や物流にコストがかかるオンラインショップでは、注文件数が増えるほど利益率が低下する性質があり、年商数十億円の規模になると物流部門の設備と人件費が重い負担となり、実店舗の小売企業よりも薄い利益率に陥るという悩みを抱えている。

そこで今からの起業であれば、「モノを扱う商売」をやるとしても、従来型の小売業の枠に収まることなく、新たな工夫で儲かる仕組みを再構築することが必要になる。その具体的なものとしては、ユニクロ(衣料)やABCマート(靴)のように、自ら商品を企画する製造小売りの業態で利益率を10%以上に高める方法もあるし、中古品を専門に扱うリサイクルショップを全国展開する企業も最近では増えている。しかし日本でまだ少ないのが、レンタルサービスを専門にする業者の存在だ。

CDやDVDのレンタルは既に生活に欠かせないサービスとして周知されているものの、それ以外の生活用品を消費者が必要とするときに“購入”ではなくて“レンタルする”という選択肢が用意されたショップが少ないことに気付く。たとえば1年間の条件で東京から大阪へ単身赴任するような場合、一人暮らし用の家財道具をすべて買い揃えるということは非常に不経済である。任期が明けて東京に戻る際には、大きな荷物を持って引っ越すにしても、捨てるにしても、馬鹿にならない費用がかかってしまう。それなら最初から家具や家電製品を購入するのではなくて、月々の使用料でレンタルできるサービスがあれば便利だろう。

米国では一人暮らしを始める際に「家財道具をレンタルする」という選択肢がごく一般的なものになっていて、家具や家電製品を長期レンタルする業者が急成長している。これは従来の小売店でもないし、リサイクルショップでもない新たな業態として注目されているものだが、その仕組みを調べていくと決して難しいことをやっているわけではなく、日本でも既存の小売業者がその方法を真似ることは可能である。ただし製品レンタル市場にはもう一つ奥の動きもあって、そこでは「モノの値段」や「新品と中古品」という区別さえ存在しておらず、あるのは「モノの使用料」だけである。それがどういうことなのかを理解することにより、リサイクル問題に配慮したエコビジネスともリンクした、新タイプのレンタルサービスが切り開ける。
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この記事の核となる項目
 ●レンタル家具ショップの仕組みと採算性
 ●家具レンタル店は家具販売店より儲かるのか?
 ●レンタル家具店の収益計算方法
 ●中古と新品の区別がないレンタル専用商品の開発商機
 ●持ちたくない(所有したくない)商品を貸すという発想
 ●高採算型レンタルサービスの特徴
 ●環境問題を味方にしたクリーニング屋のレンタルサービス
 ●繁盛しているクリーニング屋の副業
 ●健康と環境問題から見直されるオムツのレンタルサービス
 ●介護用品レンタル市場における価格差のカラクリと業界構造
 ●維持修理費と廃棄コストの負担増で見直されるレンタルビジネス
 ●製品売切り→機能貸しへの転換で変わる製造業者の収益構造


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