バーチャルリアリティ(VR)のテクノロジーは、医療・介護分野にも導入されはじめている。実際の現場でなければ経験できないシーンを、VRによって疑似的に体験することで、新人スタッフは効率的に専門スキルを習得できる (JNEWSについて
医療・介護福祉の現場に導入されるVR研修システム

JNEWS
2019/7/26

 バーチャルリアリティ(VR)のテクノロジーは、ゲームやエンタメ業界を中心に普及してきているが、手堅く収益化できる分野としては、職域トレーニングの市場がある。仕事の現場や、作業手順を仮想的に体験できるようにすることで、新人研修や現役スタッフのスキルアップに役立てることができる。その中でも、医療や介護分野でのVR研修に対するニーズは高い。

2014年設立の株式会社ジョリーグッド(東京都中央区)は、医療、介護福祉、障害者施設などの、スタッフ研修用のVRシステムを開発、販売している。

医療業界向けの「医療研修VR」は、執刀医や器械出し看護師など手術スタッフの目線で、手術室と同じ体験ができるVRシステムで、全国の医療機関、医療機器メーカー、学会などに導入されている。手術室に複数台設置した360度カメラにより、執刀医や助手など複数の視点から撮影された映像は、離れた場所にいる医療関係者にも配信できるようになっている。

医療研修VR

介護業界向けの研修VR「ケアブル」は、介護の現場で起こりうる様々なシーンを疑似体験できるVRコンテンツで、介護施設の新人スタッフ向け研修として活用されている。たとえば、VRゴーグルの中では、認知症対応のコミュニケーションを被介護者(高齢者)側の視点から体験することができ、帰宅願望や入浴拒否など、実際の現場で起こりやすい事例に対して、介護スタッフが行うべき模範対応を、繰り返し見ながら、認知症への理解を深めることができる。


また、介護現場で突発的に起こる、心肺停止、ノロウィルス感染での嘔吐、転倒による出血などの事例も、VR映像によって疑似体験することで、実際に同じ事象が起きた時に慌てずに対応するための、知識やメンタルを鍛えることもできる。

ケアブルによるVRトレーニングは、研修者が自習用して活用することに加えて、1対多の集合研修にも対応している。講師は、一斉に受講者のVRを操作できるだけでなく、トレーニング中の視点を解析して受講者の理解度をスコア化することも可能だ。

介護施設がケアブルを導入するための費用は、すべての機能が使えるスタンダードプランが月額50,000円で、その他に、講師用のタブレット(1台)と、研修者が装着するVRゴーグル(3~10台)の費用が別途かかる。

これらのVRシステムを開発する株式会社ジョリーグッドに対しては、SBIインベストメント、新生企業投資、MBSイノベーションドライブ、アクシル・キャピタル・パートナーズなどが、総額11.5億円の出資を行っている。

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