買い物中に受け取った釣り銭を、店舗内に設置された端末に挿入すると、自分の口座で資産運用ができる「リアルおつり投資」の実験プロジェクトが国内の4社によってスタート。金融庁の支援案件としても採用されている。
店舗で受け取った釣り銭を資産運用できるリアルおつり投資

JNEWS
2018/11/12

 買い物のレジで受け取ったお釣りの小銭は、財布の中で嵩張ったり、重くて邪魔になったりするものだが、それを投資マネーとして運用に回せる取り組みがスタートしている。セブン銀行、GMOペイメントゲートウェイ、ポケットチェンジ、TORANOTEC(トラノテック)の4社が共同で立ち上げた「リアルおつり投資プロジェクト」は、コンビニやスーパーなどの店舗に、専用のおつり投入ボックスを設置して、その中に顧客が買い物で受け取った釣り銭を投入すると、自分の口座で資金運用ができるものだ。

このプロジェクトは、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」支援案件として採用され、実用化に向けた検証実験が行われることになる。具体的なプロジェクトの流れは、ポケットチェンジ社が、釣り銭を投入できる「おつり投入ボックス」の端末を開発し、セブン銀行が端末の管理や運用を行う。投入された小銭データの管理や送金はGMOペイメントゲートウェイが担当して、回収された小銭は、トラノテック社が運営する、おつり投資サービス「トラノコ」の中にある各顧客の口座で運用される。

トラノコに会員登録を済ませている来店客は、端末の画面上に表示されるQRコードをスマホアプリに認識させると、自動的にユーザー認証が行われ、端末のポケット内に釣り銭を投入して金額の確認・承認を行うだけで簡単に投資が行える。この「おつり投入ボックス」は、2019年2月~4月にかけて、丸の内センタービルディング1階で実験的に設置される予定だ。

FinTechの事業テーマとしては、これまで投資への関心度が低かった消費者層(主に20~30代)に対して、スマートフォンから手軽に行える少額の資産運用サービスを開発することが有望視されている。同プロジェクトの中で、釣り銭の資産運用を担当する、おつり投資アプリ「トラノコ」には、あらかじめ3タイプのファンド(安全重視型・バランス重視型・リターン重視型)が設定されている。それを選択するだけで、世界の株式、債券、不動産などを組み入れ資産とする上場投資信託(ETF)への投資が行われる仕組みになっている。

また、おつり投入ボックスの製作を担当するポケットチェンジ社は、海外旅行からの帰国時に余った外貨(紙幣とコイン)を、各種の電子マネーや電子ギフトカードに交換できるキオスク端末を開発して、全国の空港、ホテル、旅行会社などに設置することを主力の事業としている。

トラノコ
ポケットチェンジ

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