投資として取引される 音楽著作権の売買オークション
JNEWS会員配信日 2017/7/8
現在の著作権市場において、利用ライセンスの徴収システムが最も確立しているのは「音楽」のカテゴリーである。しかし、作品から魅力的な収入を得られるのは、一部のアーティストに限られている。そこに、投資家が参画できる仕組みを作っているのが、2011年に米コロラド州で創業した「Royalty Exchange」である。
このサイトは、楽曲権利を売却して資金を調達したいアーティストやレコード会社と、その作品が生み出す将来の著作権収入に期待する投資家とをマッチングするオークション型のマーケットプレイスとして機能している。
音楽には、作詞・作曲の著作権に加えて、演奏権、録音権、シンクロ権(映像に音楽を同期させて使用する権利)など、様々な権利が存在している。日本では、すべての権利をJASRACが実質的に管理しているが、米国では、権利の種類別に管理団体が存在している。
Royalty Exchangeは、それらすべての権利を丸ごと売買することもできるし、一部の権利を切り売りすることも可能になっている。買い手となる投資家は、出品されているアーティスト名や音源の内容から、今後の著作権収入を予測して、入札に参加することができる。著作権は、作者の死後70年先(米国の場合)まで権利が存続するため、知的資産としての寿命は長い。
具体例として、2017年のグラミー賞・ベストロックアルバム部門を受賞した、米国のロックバンド、Cage The Elephant(ケイジ・ジ・エレファント)が2009年にリリースした「In One Ear」という楽曲の使用権(パフォーミング・ライツ)は、4,500ドルからオークションが開始され、最終的には16,950ドル(約190万円)で落札されている。
この売買に含まれるのは、米国内のテレビ、映画、コマーシャル、ラジオ(AM/FM/衛星)、インターネットストリーミングなどで楽曲が使用された時のライセンス料を受け取れる権利で、楽曲全体の著作権を取得できるわけではない。オークション前に開示されている実績では、過去12ヶ月間で 1,166ドル(約13万円)の該当収入がある。
単純に計算すると、16,950ドルの落札価格は15年間で回収できて、それから先も作者の死後70年間は、毎年四半期ごとにライセンス料を受け取れる権利がある。
著作権は、不動産のように維持費や固定資産税がかからないため、投資対象としては面白く、このバンドが今よりもメジャーになり、楽曲がテレビCMなどに採用されると、ライセンス収入は一気に跳ね上がる。反対のリスク要因として、バンドの人気が衰退して、楽曲がほとんど使われなくなれば、権利の価値も下落することになる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすること で詳細レポートにアクセスすることができます → 記 事一覧 / JNEWS
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