知的財産ビジネス事例集
  
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  製品本来の性能で差別化が難しくなっている分野では、製品のデザインに付加価値を付けて高く売るビジネスが主流になりつつある。そこで重要な役割を果たすのが「デザイナー」の存在で、彼らの収益構造には変化が現れている。
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知的財産化するデザイナーの仕事と
デザインメーカーの可能性
written in 2006/11/9

 製品本来の性能は同じでも、その外観のデザインの良し悪しによって売れ行きが大きく変わるということはよくある。機能的には既に“てんこ盛り”の状態にある携帯電話はデザインを第一の条件として決める消費者が多いし、自動車の購入でもデザインの好みが優先されることは言うまでもない。最近では家電製品にも「デザイン家電」という分野が登場して、機能よりもデザインを重視した冷蔵庫や加湿器などが割高な価格設定にも関わらず好調な売れ行きをみせている。住宅の賃貸物件でも「デザイナーズマンション」や「デザイナーズ住宅」という付加価値を付ければ、1〜2割高い家賃の設定でも入居率が上昇する。

さらに環境や福祉への配慮が求められる現代では「ユニバーサルデザイン」という考え方が登場して、健常者に限らず高齢者や障害者でも製品を簡単で安全に使うことができるデザイン設計が重視されるようになってきている。我々の生活を便利にするための各種製品は性能の向上ばかりではなく「使いやすさ」をデザインの力によって追求することの大切さがクローズアップされるようになった。

そこで脚光を浴びるのが「デザイナー」という専門職だが、彼らの地位は総じて高くはない。もともとデザインの仕事は個人のアイデアや発想力に依存する部分が大きいために組織人としてではなくフリーで活動することが適しているが、独立して生計を立てられるデザイナーはほんの一握りに過ぎない。しかも年収1千万円以上を稼ぐデザイナーとなると、さらにその数は限られてくる。

一方、企業の立場からみると業界分野を問わず、優秀なデザイナーをビジネスパートナーとすることが製品の差別化や売上を伸ばすことに不可欠だ。市場が成熟してくると消費者は製品の機能だけを追い求めるのではなく、それを持つことがカッコイイ、カワイイ、落ち着く(癒される)というように全体のイメージで捉えるようになり、そこにデザインセンスが大きく影響してくるためだ。そこにいち早く気付いた企業は、実力のあるデザイナーとの協業によりヒット商品を連発している。そこではデザインの価値がどのように扱われ、デザイナーの収益構造はどうなっているのかを今回は掘り下げてみたい。
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この記事の核となる項目
 ●個性的な製品が求められる時代のデザイナーの価値
 ●独立したプロダクトデザイナーの収益構造
 ●デザイナーが保有する知的権利の価値
 ●フリーデザイナーの著作権に絡む問題
 ●デザイナーが立ち上げるファブレスメーカーの可能性
 ●半導体業界にみるデザイン会社のライセンス型ビジネスモデル
 ●半導体業界におけるデザイン会社の役割
 ●知的権利だけで大きく稼ぐ回路デザインプロバイダ
 ●権利の取得より売ることが難しい特許ビジネスの盲点と採算性
 ●工賃で稼げない時代の中小製造業者が目指すべき特許ビジネス
 ●知財社会を担うサラリーマン技術者が独立起業を果たす道
 ●クリエイターの著作物を担保にした知財投資ビジネスの光と陰
 ●スポーツブランドに特化した知的財産オンライン監視ビジネス


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