起業を諦めてしまう人に最も多い理由は「自己資金が足りない」と考えていること。しかし、実際に起業した人達の層では、「多額の資金が無くても起業はできる」と考えていて、100万円未満の資金で起業する人の割合も高くなっている。 (JNEWSについて
定年退職を迎える50~60代の起業意欲と開業スタイル

JNEWS
JNEWS会員配信日 2015/5/6

 日本では、満60歳の誕生日が定年退職の日となるのが通例。定年を65歳にまで引き上げる会社も出てきているが、そもそも米国では、定年制度自体が年齢差別にあたるとして、法律で禁止されている。採用面接の際にも、応募者の年齢を聞いてはいけないし、履歴書に年齢を記入する義務もない。また、欧州でも年齢差別に対する訴訟が起きており、定年制度を見直す動きが出てきている。

これからの社会は、シニア、高齢者というグループ分けをするのではなく、すべての年齢層を平等に扱う中で、優秀な者を選抜する方式へと変化していくことになるだろう。

 定年を迎えても、健康なうちは働き続けることが、これからの標準的なライフスタイルになっていくだろうが、勤務形態や時間に縛られる働き方は、できることなら避けたいと考える人は多い。

そこで、「雇われる」のではなく「起業」という選択肢もあるが、実際の起業意欲は、年齢が高くなるほど減退しているのが実態である。

日本政策金融公庫が、全国の18歳から69歳までの男女、約7万5千人を対象に行った「起業意欲に関する調査(2013年)」によると、「起業に関心あり」と回答しているのは、20代は28%であるのに対して、50代で17%、60代では9%にまで減少している。

《年齢別にみた起業への関心度》

ただし「以前は関心があった」という人達を含めると、どの年齢層でも約3割が起業願望を抱いており、自分に実現できるか否かという点で、年を重ねるほど諦めてしまう傾向があるようだ。

同調査の中では、起業しない最大の理由は「自己資金が不足していること」が指摘されており、起業に無関心な人は、起業に関心がある層よりも、平均年収が低いことが明らかになっている。

《起業意欲と平均年収の関係》

その一方で、実際に起業した人の開業資金をみると、100万円未満の資金で事業を立ち上げている人が5割以上を占めており、「多額の資金がなければ起業できない」という意識的なハードルは、工夫次第で回避することができる。

《起業者開業資金の実態》

20年前と比べると、起業者の平均開業資金は大幅に下がっているが、これはネットを利用したスモールビジネスの選択肢が増えたことが寄与している。店舗などを持たずに開業できるカテゴリーも多くなり、新規起業者の3人に2人が自宅を主な営業場所としている。

《自宅を主な営業場所としている起業者の割合》

起業意識に関する調査(日本政策金融公庫)

60代からの起業スタイルとして適しているのは、これからの生活資金にはある程度の余裕があり、数百万円の自己資金でチャレンジしても、大きな支障がない人達で、退職金をすべて注ぎ込むようなリスクは負っていない。以下の条件に合う事業であれば、もしも失敗した時のリスクは小さく、事業に成功したときのリターンは、嘱託社員や契約社員として働くよりも大きなものになる。そして、何よりも「自分で立ち上げた事業で収益を得る」ことの満足度は高いものになる。

《50代以降のライフステージに適した起業モデル》

○スモールオフィス(主に自宅)で開業できる事業であること。
○従業員は、自分+最小のスタッフ人員で行える事業であること。
○ネットからの集客や顧客対応が可能な事業であること。
○過剰な設備投資をする必要がない事業であること。
○有形在庫を持たず、無形サービスや専門知識を売れる事業が望ましい。

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