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無線ブロードバンドで変わる
田舎地域の兼業ワークスタイル
written in 2011/3/2

 これまで米国のIT企業が、“安価な人材”を確保できる場所として着目してきたのは、主にインドを中心とした新興国である。インドは国策としてIT人材の育成に力を入れており、160万人以上のソフトウエア開発者がいると言われている。その中の8割近くは、海外クライアントからの受注案件に従事している。主な発注国である米国にとっても、英語が使えるインドの人材は使いやすくて、開発コストも安く抑えられる利点がある。

ただし、文化や習慣の違いによるコミュニケーションの不具合や、時差の関係もあるために、やはり自国の人材と同じように使うということは難しい面がある。そこで、見直されるようになってきたのが、「オフショアリング(海外へのアウトソーシング)」とは逆の、「オンショアリング(自国へのアウトソーシング)」の発想だ。

国内で白羽の矢が立っているのが、都会からは離れた地方(田舎)に住む人材を活用することで、米国でも、大都市と田舎では人件費が30%〜50%ほど違うことから、オンショアリングすることのメリットが十分にあり、ルーラルソーシングを新ビジネスとして手掛けるベンチャー企業が多数登場してきている。

「CrossUSA」という会社はその一つで、これまで海外へのオフショアリングで、システム開発の外注をしてきた企業を対象として、米国内でのルーラルソーシングを提案している。同社はミネソタ州の農村地帯に、「ルーラル・デベロップセンター(RDC)」という、大規模なIT施設を建設して、主に金融や保険業界のシステム開発案件を受託している。オフショアリングと比較すると、人材のスキルレベルが高くて、言葉の壁もまったく無いのがウリである。

それと同時に、CrossUSA社では、IT人材の採用にも積極的で、都市部で働くプログラマーやエンジニアに対しても、ミネソタ州への移住を呼び掛けている。田舎での生活は、毎日の通勤で交通渋滞に悩まされることは無いし、近隣住民との人間関係も穏和で、犯罪率も低く、自然も豊かであることから、子育てにも適している。

仕事に関しては、RDCの職場で最先端の開発ができる上に、健康保険や福利厚生も充実している。都会のIT企業で働くより年収は下がるが、その分だけ生活費も安いことや、ストレスが少ないことからすれば、都会で働くことに違和感を抱いている人にとっては悪くない条件だ。こうした求人活動は、同社ホームページの他に、フェイスブックやリンクドイン(Linked In)など、ソーシャルネット
ワークの中でも行われている。

《ルーラル・デベロップセンターによる受託開発》

  

 米国では、1990年代からシステム開発の海外委託が活発に行われて、フォーチューン 500社にランキングされるような大手企業でも、社内のシステム開発をインドのソフトウエア会社に発注することで、開発費を安く上げることが競われていた。しかし、2000年代に入ってからは、インドの人件費は年率で15〜20%もの高騰を続けてきた。さらに、2008年の金融危機以降は、不況により国内の開発単価も下がったことから、海外にオフショアすることだけでなく、自国へも仕事を戻そうとする動きも見られるようになった。

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この記事の核となる項目
 ●田舎人材に着目したルーラル・ソーシングとは
 ●ルーラル・デベロップセンターによる受託開発の仕組み
 ●海外から国内の田舎人材へ回帰している理由
 ●IT時代に広がる新たな兼業農家のスタイル
 ●ルーラル・ブロードバンドと新ワークスタイル
 ●米国ブロードバンド回線の普及動向からみた日本との違い
 ●農村からの情報発信とハイパーローカル市場
 ●ハイパーローカル市場の消費者行動
 ●漁師が収穫した魚を会員でシェアする新漁業モデル
 ●遠隔医療で解消される地域間の健康格差
 ●経済連携による国境消滅で起こる介護人材の国際調達ビジネス
 ●バーチャル農園で本物の野菜を栽培する農業の新スタイル
 ●江戸時代の石高制度に学ぶ、市民農園を収益化する発想


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