起業家になるためのノウハウ集

     
偽った業績を示す粉飾決算を見破れるようになると「銀行員としては一人前」と言われる。融資審査の際には粉飾された決算書をよく見かけるが、その真偽はどのように判定されているのか、その初級テクニックを解説。


 
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危ない会社の粉飾決算を見破る
初歩的テクニック
written in 1999.7.23

 「決算書が読めるようになれば銀行員として一人前」と銀行の社員研修ではよく言われる。各取引先企業がどんな経営状態にあるのかを判断する材料として「決算書」は最も重要な資料であり、その内容を検討することによって今後の融資方針が決定している。

 もちろん会計や簿記の勉強をすれば新人行員でも決算書に記載されている内容を理解することはできる。しかし、そこに記載されている内容が真実かどうかはベテラン行員にならないと見分けるのが難しいのだ。

 企業の決算書とは、学生で言えば成績表にあたる。ただし学生と違うのは、「成績表」を自分自身(自社)で作成している点にある。そのため記載されている数値の内容は都合の良いようにお化粧することが可能だ。一見して見栄えの良い決算書を提出する会社でも内情はガタガタであることも珍しくない。近年では銀行自身が破綻するケースも多いが、倒産前の決算書からは、それを見破れないのが常である。つまり経営状況が悪化している企業の大半は何らかの形で決算書を粉飾していると考えておきたい。


なぜ粉飾するのか・・

 倒産企業に「粉飾決算<は付き物だが、単純に考えれば実力以上に良い決算書を作成することは企業にとって支払う税額も多くなるために不利益であるように感じる。なぜ決算書を粉飾しなければならないのか・・。その答えは企業の資金繰りと信用秩序の仕組みが理解できれば解くことができる。

 企業経営を円滑に進めるためには「損益」「信用」「資金繰り」の三要素がバランス良く保たれていなければならない。その中の一要素が落ち込めば大半の企業は残りの二要素にも影響を与えて経営状態がおかしくなってしまうのだ。

<企業経営の三要素>

     ┌────→[信用]←────┐
     │              │
     │              │
     ↓              ↓
   [損 益]←────────→[資金繰り]
     ↑
  (決算書の内容)

 粉飾決算と手形トラブルはセットになっていることが多い。企業の資金繰りが悪化し始めると現金で支払代金を決済することが厳しくなるために、手形決済の比率が高まったり、支払サイトが伸びたりする。

 「手形決済=信用決済」であるから手形振出企業の信用力が問われることになる。例えばA社の手形を受け取った取引企業B社が、手形を支払い期日前に現金化したい場合にはB社の取引銀行で「手形割引」をしてもらうことになるが、その際にはB社の取引銀行がA社の取引銀行(手形に記載されている銀行)に対してA社の「信用伺い」をするのが慣例だ。A社の取引銀行では決算書を確認した上で、A社の信用度をB社の取引銀行に回答する流れになる。

 この段階でA社の決算書が毎年赤字であれば「信用状況は悪い」と判断され、A社の手形は決済手段として流通しにくくなる。こうなればA社はすべての取引先から手形でなく現金決済を求められるようになるため、急激に資金繰りは悪化していく。この様な信用喪失を防ぐために一部の企業では決算書の数字をお化粧しておくのだ。


ベンチャー企業にもある粉飾決算

 急成長するインターネットベンチャーの世界でも粉飾決算は存在する。この業界では他人資本(例えばベンチャーキャピタルやエンジェルからの出資)によって資金を調達して業務拡張している企業も少なくないが、その場合には株式公開を達成する前に他人資本の流入が途切れてしまうと資金繰りが悪化する。これを回避するためには「前年比○○%増」という華々しい決算書で出資者にアピールすることが必要になるわけだ。

※もちろん他人資本の入っているベンチャーの中でも健全経営をしている企業が 大半で、粉飾をしている企業はほんの少数に過ぎない。

 金融機関の本当のプロ達はこの様な粉飾企業を、決算書だけで見破ることができる。細かなテクニックは難しい財務知識が伴うため解説を省くが、要点は「あまりに出来過ぎた決算書は疑う」ことにポイントがあるようだ。

 出来過ぎた決算書とは「利益を大きく見せることに重点が置かれて、節税対策がされていない」内容のものを指す。自己資本比率が高く、資金繰りにも困っていない健全企業なら実力以上に決算書を良くする必要もないので、支払う税額を抑えるために「十分な節税対策がされている」内容になるのが自然の姿だ。

 ここに着目するだけでも企業の意外な側面が見えてくるようになる。ある銀行員は、経営者と世間話をしていく中で、その人が節税知識に詳しくないようなら「この会社は儲かっていない」と判断している。 (起業家の成功法則



これは正式会員向けJNEWS LETTER 1999年7月23日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
 
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