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「健全経営」で成功する新規参入業界の選び方
written in 1998.12.28

 今年1年間を通して経営者の間で最も話題となったキーワードが「貸し渋り」である。従来通りの商売をしていても銀行からの資金調達は渋くなるばかりで、「新規事業を興したくても動けない状況」が今でも続いている。貸し渋りは銀行側が自己資本比率を高めるため貸出残高を絞っていることに原因があるが、これは銀行が健全体質へと生まれ変わろうとしていることを意味している。

 新聞やニュースでもよく使われる「自己資本比率」という言葉だが、実は銀行以外でも様々な業種で「自己資本比率の充実」が叫ばれるのが1999年だと言われている。実際に銀行の融資担当者は得意先に対して自己資本比率を高める努力をするようにアドバイスしてるが、これをわかりやすく説明すれば「借入に頼らず、自己資金で商売していく比率を高めなさい」と言っていることになる。

 しかし日本経済は戦後の復興期から「借入に依存した経営」が身に付いている。借金をゼロにしたくても、それでは商売が成り立たない業界も多く、銀行からの融資が途絶えれば「廃業」ではなく「倒産」するしかない企業が大半を占めている。これが古くから活躍している経営者達の大きな悩みだ。

 それに比べればゼロからビジネスを立ち上げる、これからの起業家達は恵まれている。借入に依存した経営戦略を最初から組まないことで自己資本比率の高い商売をゼロから組み立てることが可能であるためだ。ただし「参入する業界を選ぶこと」が新しい起業家達への課題だ。どんなに自分が「無借金体質でいこう」と決意しても、それが不可能な業界も多く、ここに首を突っ込むと会社が成長するほど借入依存度が高くなり経営が苦しくなる。そのためにも業界毎の自己資本比率を把握してから、参入する業界を決定することが新規事業を失敗させないための重要戦略だ。


自己資本比率の算出方法

 新規独立の場合の資金調達で考えると「自己資本比率」がわかりやすい。
サラリーマン時代に蓄えた資金が300万円あり、銀行からの借入金500万円を加えて事業を始める場合には、総資本=800万円、自己資本=300万円となり自己資本利率は37.5%(300万円÷800万円)ということになる。この比率を正式には「総資本対自己資本比率」と呼ぶ。

※ちなにみサラリーマンの独立起業では開業資金に対して最低でも30%以上の 自己資本を準備しないと銀行では融資してもらえない。

  ┌───────────────────────────┐
  │                 自己資本      │
  │ 総資本対自己資本比率(%)=────────×100│
  │                 総資本       │
  └───────────────────────────┘



注目しておきたい業界指標<

 業界毎の自己資本比率は大きく異なる。これは商品仕入、原材料費、人件費に多額の資金が必要な業界ほど大きな資金が必要となるためだが、新規事業を立ち上げる際には該当業界の自己資本比率の平均値を把握した上で、参入するか、しないか、を決定することがその後の事業成功確率を高める。

 ◎建設業界平均値 ------------> 総資本対自己資本比率= 32.7%
 ◎塗装業 --------------------> 総資本対自己資本比率= 39.0%
 ◎電気工事業 ----------------> 総資本対自己資本比率= 37.5%

 ◎食料品製造業 --------------> 総資本対自己資本比率= 39.9%
 ◎衣料品製造業 --------------> 総資本対自己資本比率= 41.4%
 ◎家具製造業 ----------------> 総資本対自己資本比率= 32.4%
 ◎印刷業 --------------------> 総資本対自己資本比率= 30.2%
 ◎医薬品製造業 --------------> 総資本対自己資本比率= 39.4%
 ◎電気機械器具製造業 --------> 総資本対自己資本比率= 34.1%
 ◎自動車部品製造業 ----------> 総資本対自己資本比率= 32.5%
 ◎精密機械製造業 ------------> 総資本対自己資本比率= 41.6%

 ◎衣料品卸売業 --------------> 総資本対自己資本比率= 30.4%
 ◎生鮮食料品卸売業 ----------> 総資本対自己資本比率= 36.7%
 ◎電気機器卸売業 ------------> 総資本対自己資本比率= 23.8%☆

 ◎スーパーマーケット --------> 総資本対自己資本比率= 36.8%
 ◎コンビニエンスストア ------> 総資本対自己資本比率= 54.2%
 ◎衣料品小売業 --------------> 総資本対自己資本比率= 46.6%
 ◎酒小売業 ------------------> 総資本対自己資本比率= 60.2%
 ◎自動車販売業 --------------> 総資本対自己資本比率= 29.5%
 ◎家具小売業 ----------------> 総資本対自己資本比率= 29.3%
 ◎パソコン小売業 ------------> 総資本対自己資本比率= 34.6%
 ◎医薬品小売業(薬局)-------> 総資本対自己資本比率= 52.7%

 ◎食堂・レストラン ----------> 総資本対自己資本比率= 60.2%
 ◎中華料理店 ----------------> 総資本対自己資本比率= 45.4%
 ◎そば・うどん店 ------------> 総資本対自己資本比率= 61.4%
 ◎喫茶店 --------------------> 総資本対自己資本比率= 57.3%

 ◎LAN機器製造販売 --------> 総資本対自己資本比率= 49.3%☆
 ◎気象情報提供 --------------> 総資本対自己資本比率= 52.0%

※小規模な商売ほど自己資本比率は高くなければならない。
※指標データは中小企業庁『中小企業の経営指標』を参考に作成
 (データ対象は従業員100名未満企業)

 この様に自己資本比率は業界毎のばらつきが大きいが、「経営」という共通した視点からみれば比率が高いほど「不況に強い業界」「潰れにくい会社」ということになる。国内企業の総資本対自己資本比率の平均値は30%台だが、銀行側の審査基準としては40%以上を優良企業の条件として上げている。
(自己資本比率が低い企業、業界には貸し渋る傾向が強い)

 同系列の業種でもちょっとした工夫や視点の違いにより平均値よりも自己資本比率を高めることは可能だ。☆印のある「電気機器卸売業」と「LAN機器製造販売」とは同系列の業界だが成長率が高いLAN関連機器分野に着目することで従来の自己資本比率23.8%から49.3%へと経営体質を改善できることが実証されている。パソコンのネットワーク構築に必要なLANカードやLAN周辺機器は従来からの電気機器に比べて原価率が低く付加価値が高いため、設備投資負担が少なく高収益が見込める。その結果として自己資本比率が高まるのだ。情報提供業界でも同様に「気象情報」という特化した情報を扱うことで一般的なジャンルの情報提供会社よりも高収益となり自己資本比率が高まる。

 小規模ベンチャー企業として安定経営を目指すなら常に総資本対自己資本比率50%以上をクリアーしていることが必要と銀行側では指摘している。しかし、これを実現するためには参入すべき業界を十分に選別しておかなければならない。参入業界を間違えれば自社努力だけでは「恒常的な資金不足」を解決することができずに、業界構造に悩まされることになりそうだ。


これは正式会員向けJNEWS LETTER 1998年12月28日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
 
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