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目的ジャンル別に考える価格設定の法則とは

Written in 1998.10.14



 商品やサービスの「価格」というのは奥が深い数字だ。どんなに性能が良い新製品でも価格戦略を間違えたことにより市場から姿を消してしまった事例は多い。製造原価に利益を上乗せして販売価格を決定するのがベーシックな方法だが、競合の有無や消費者の心理状況によって価格に「味付け」を施すことが戦略としては重要。

 メーカー側は発売からどれだけの期間で損益分岐点をクリアーさせ、その後どれだけ商品寿命が維持させるのかにより価格設定方法を変えている。その価格戦略についての考え方を整理してみたい。




原価基準型・価格設定


 最も基本的な価格設定が、製造原価に対して一定水準の利益率を上乗せして販売価格を決定する方法。しかしこの方法は供給者(メーカー)側の都合だけで価格が決定されるために、価格が需要者(消費者)側の価値観に合わないリスクがある。

 また販売予定数量を何個に設定するのかによっても決定される価格水準は大きく異なる。非常にニッチな市場に商品をを投入するのであれば、原価コストに対して割高な利益率を設定しなければ損益分岐点をクリアーすることができないが、価格に割高感が出てしまうために販売数料が伸びないケースがよくある。この様な場合には単純な原価計算だけで価格設定をするべきではない。




競合意識型・価格設定


 独自性に欠ける商品やサービスの場合には販売シェアのランクによって価格設定を検討する必要がある。つまり既に業界シェアが確立している市場に後発で参入する際には上位メーカーよりも低い価格設定にしなければ顧客を獲得することは難しい。この様な場合には利益率の計算よりも、まず業界シェアにくい込むことが絶対条件となるために競合との価格バランスに常に注意を払っておかなければならない。

 わかりやすい事例としては携帯電話の料金設定がある。業界シェアトップのNTTドコモが料金の値下げを発表すれば、それに追随してドコモより安い設定でIDOやツーカーも必ず値下げを実行している。




名声型・価格設定


 ブランド商品の価格がこの方法で設定されている。消費者が商品に対してこだわる傾向が強いが性能や品質的にはどのメーカーの商品も大差ない場合には、その価格設定が商品ランクを決定することになる。つまり消費者側が「価格が高いから良い商品なんだ」と勝手に思い込んでしまう心理を利用した戦略だ。化粧品、アクセサリー、高級婦人服などはこの方法で価格が設定されている。




慣習型・価格設定


 長年にわたり価格が一定水準に安定している商品ジャンルには「慣習価格」というものが存在している。例えば缶ジュースならどのメーカーも1本120円に設定されているが、これは原価コストから導かれた価格ではなく慣習価格である。

 消費者側に慣習価格が根付いている場合には値下げ戦略を打ち出してもあまり売上は伸びない傾向があり、それよりは品質を向上させることで勝負する方が賢いと言われている。




上澄み吸収型・価格設定


 新しいジャンルの新製品を市場に投入する際には比較的高い価格設定にして研究開発費をなるべく早い段階で償却してしまおうとする戦略がよく使われる。これは特許等による独占技術を確保している場合に競合者が現れない間に大きく稼いで、競合が登場すれば普及価格に転換して市場シェアを確保しようとする意図がある。

 ただし研究開発費に多額のコストがかかったからといって、既に競合者が存在するにも関わらず上澄み吸収価格を設定してしまえば、シェア争いに負けてしまう。この場合には市場浸透価格を設定することが必要だ。




市場浸透型・価格設定


 なるべく早い段階で市場シェアを獲得するために、利益率をあまり意識せずに低めの価格設定をして製品を市場内に浸透させてしまおうとする戦略。典型例としては携帯電話がある。端末をタダで配ったとしてもユーザーが増えれば、その後の基本料金と通話料で十分な利益が見込めるために組める戦略である。

 「売りっぱなし」で商売が完結するのでなく、その後にサプライ用品購入が期待できたり月額使用料が期待できるタイプの商品やサービスにはこの価格設定が向いている。


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