オランダでは、洗濯機の所有権を顧客に与えずにPay-pre-useの従量課金制とすることで、洗濯機の使用回数や水の使用量を減らす取り組みが研究されている。 (JNEWSについてトップページ
Pay-per-use型レンタル洗濯機の料金プラン設計

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JNEWS会員配信日 2022/4/24

 メーカーや販売業者が、限られた資源を循環させるサーキュラービジネスを構築する上では「製品所有権の保持」「製品寿命の延長」「リサイクルに適した製品設計」という3つの原則がある。いわゆる「as a Service」のビジネスモデルでは、製品の所有権をメーカーや販売業者が保持して、月額利用料を徴収しながら、製品寿命を延ばしているのが特徴である。そして、as a Service専用に開発された製品では、修理やリサイクルがしやすい設計や組み立てがされている。

環境規制が厳しい欧州では、製品のカテゴリーによっては消費者に所有権を与えないことや、製品寿命を一定の年数以上に延ばすことを法制化することも検討されており、頻繁な製品のモデルチェンジによる使い捨て消費が見直される風潮が高まっている。

欧州の中でも特に積極的なのがオランダで、家電製品の所有権を顧客に与えずに、pay-per-use型でレンタルする業者が10社以上登場してきている。サーキュラービジネスに最も適した家電製品は「洗濯機」と言われており、所有から従量課金のレンタル方式に変えることで、家庭での洗濯回数や水の使用量が減り、気候変動の影響を20~37%改善できるという研究論文も発表されている。

Circular business models of washing machines in the Netherlands

オランダのデルフト工科大学からスピンアウトして設立された「HOMIE」は、使用回数に応じて利用料金を払う、pay-per-use型の家電製品を開発するスタートアップ企業で、洗濯機を主力商品としている。同社の洗濯機は月額料金でレンタルすることができるが、利用期間が「6ヶ月以上」と「3年以上」の2つの契約コースが用意されている。

6ヶ月以上のコースは、洗濯機の容量が8kgサイズのタイプで月額基本レンタル料金は13.99ユーロ(約1900円)だが、その中には月間に十数回分の洗濯ができるクレジットが含まれている。1回あたりの洗濯単価は、使用する洗濯水の温度によって違いがあり、以下のような料金体系になっている。

《レンタル洗濯機の料金プラン例》

この料金プラン例では、30度の洗濯水を使用すればクレジット内で月間に約16回の洗濯をすることができるが、40度の洗濯水では約11回でクレジットを使い切ることになる。それ以上の洗濯をしたい場合にも、追加の料金を払えば、洗濯機の利用に制限がかかることはないが、従量料金制では、利用者ができるだけ洗濯回数を減らしたり、温度が低い洗濯水を使用しようとする工夫がみられ、それが環境問題の改善に繋がることが報告されている。

また、毎月の洗濯回数が多い家庭に向けては、洗濯機を3年以上の長期でレンタルすることを条件に、月額9.99ユーロの固定料金のみで利用できるコースも設けられている。このように、サーキュラービジネスの設計では、利用者にリーズナブルな料金プランを提示しながら、3原則に沿ったサービス体系の転換をしていくことがポイントになる。

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