ネットで買い物をする度に使い捨てられるダンボールは、ゴミを増やして環境を 悪化させる要因になっていることから、ダンボールに代わるリユース梱包資材の開発に商機が見込まれている(JNEWSについてトップページ
eコマースで生じる廃棄ダンボールの解消ビジネス

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JNEWS会員配信日 2021/11/3

 使い捨てゴミの問題はeコマース業界にも及んでいる。ネット通販の配送で使われるダンボールは大半が使い捨てであり、一般家庭では処分に困っているし、業者に回収してもらうにはコストがかかる場合もある。そこで、ダンボールに代わるリユース型の梱包資材を開発することにも商機が見込まれている。

そこに着眼した事業を展開しているのが、2016年の創業で欧州を拠点としたスタートアップ企業の LivingPackets社である。同社が開発した「THE BOX」は、ダンボールの代替品となる通販用の物流資材で、耐久性のある発泡ポリプロピレン製のボックスに、Eインクのディスプレイが装着されている。そのため、宅配便の発送票を、その都度プリントして貼り付ける必要は無く、注文情報のデータベースからワイヤレスで宛先を表示させることができる。使用後は、ボックスをコンパクトに畳めるため回収がしやすく、最大で1000回の再利用に耐えられるように作られている。

さらにボックスには、関係者以外が解錠できない電気ロックシステム、現在地をスマホアプリから確認できるGPS機能、ケース内の温度と圧力を測定するセンサーが組み込まれており、輸送中に荷物が破損、劣化していないかを確認できるため、デリケートな精密機器などの配送にも適している。

■THE BOXの紹介映像

THE BOXの製造コストは、ダンボールと比較すると高額だが、数百回の再利用を前提にして、トータルではダンボールを使い捨てるよりもローコストになるように開発されている。LivingPackets社は、このボックスをEC業者に対して販売するのではなく、1配送あたりの利用料を請求する「Packaging as a Service」の収益モデルを目指している。

フランスの大手家電販売業者、BoulangerではTHE BOXを一部の商品配送で導入しはじめており、宅配業者から商品を受け取った顧客は、ボックスを畳んで最寄りのBoulanger店舗に返却できるようにしている。購入した商品を返品したいというニーズに対しても、このボックスであれば折り返し利用できるため、「試用してから購入する」という新たなショッピング体験を消費者に提供することも可能だ。リユース型の物流資材は、単に使い捨ての無駄を解消するだけでなく、従来よりも付加価値の高い通販サービスを実現させる可能性を秘めている。

《LivingPacketsのビジネスモデル》

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