金属相場が高騰していることから、地域を巡回して壊れた家電やPCを回収する業者が増えている。それら業者の大半は廃棄物回収の正式な許可を取得しておらず、レアメタルの合法的な回収スキームが求められている。 (JNEWSについてトップページ
製品別レアメタル含有量と合法的回収スキームの開発

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JNEWS会員配信日 2021/7/8

 金属相場の高騰により採算性が向上してくるのが、廃棄される金属製品や鉄屑の回収ビジネスである。各地域には、金属スクラップの買い取り業者があり、そこに回収した金属類を持ち込めば収益化することができる。壊れたフライパン、炊飯器、鍋などの家庭用品、電気モーター、スチールラック、車のホイールなども買い取りの対象となるため、住宅街を巡回して無料回収する事業者も増えてくる。

しかし、一般家庭から壊れたモノを回収することについては、一般廃棄物処理業の許可が必要になり、不法投棄の問題から、ほとんどの自治体では新規の許可を出していない。そのため、巡回型の不要品回収業者は、大半が無許可業者というのが実態である。

無許可不要品回収業者の特徴(環境省)

その一方で、金属をリサイクルすることについては、鉱山から採掘、精製する方法と比較して90%以上のコストダウンができることから、一般家庭や事業所から出る金属ゴミを合法的に回収するスキームが求められている。特に、金、銀、プラチナ(白銀)、コバルト、ニッケルなどのレアメタル(希少金属)は、パソコンや家電製品に多く含まれているが、そのリサイクル率は10~30%に過ぎない。
どの製品に、どれだけのレアメタルが使われているかは、各メーカーが企業秘密として開示していないが、環境省が2013年に行った調査では、デスクトップ型のパソコンは1台あたり2,146円、ノート型パソコンは1,508円となっている。

《電子機器のレアメタル価値》

レアメタルの回収スキームとしては、2021.2.17号でも解説したように、最もレアメタル含有量が多い、廃棄パソコンの無料回収を送料着払いの宅配便で行い、同じダンボールに、その他の不要な小型電子機器も入れてもらう方式のリサイクル業者が増えている。これらの業者は、オプションとしてハードディスクのデータ消去サービス(証明書付きで1台3000円前後)も加えることで、事業の収益性を高めている。

《廃棄パソコンの無料回収スキーム》

この方法でも、一般家庭からの回収には一般廃棄物処理業の許可が必要で、その取得は難しい。しかし、小型家電リサイクル法の認定を受けた事業者は、廃棄物処理業の許可を不要とする特例があり、これが使用済みパソコンや小型電子機器(28品目)を回収する合法スキームになっている。

この認定を受けるには、回収→分別→再資源化までの工場体制を整えた上で、環境省・経済産業省の立ち入り検査を定期的に受ける必要があるため、ハードルは高く、現在は60の事業者が認定を取得している。その中で、宅配便を利用して全国の一般家庭までを対象とした回収サービスを実施するのは、リネットジャパン(3556)が国内初の業者になっている。

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