米国のアーバンファームは、都市部にある企業や個人の遊休地を農園として収益化できるプラットフォームとして広がっている。水耕栽培のキットから収穫物の販路までがパッケージ化されており、未経験者でも収益化しやすい道筋ができている。
アーバンファーム(都市農園)を収益化するビジネスモデル

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 都市の中で農業を行うアーバンファームには、企業も新事業として注目しており、ビルの屋上などを利用した農業を展開しているが、こちらでも、安定収益を得られるビジネスモデルを築くことが重視されている。


BrightFarms」は、アーバン・グリーンハウスのコンサルタント会社で、大都市にあるスーパーマーケットと長期の納品契約を結んだ上で、そのスーパーの近隣にある遊休地やビルの屋上などを借り、グリーンハウス(温室)を設置して、オーガニックの水耕栽培でトマト、レタス、ハーブなど栽培している。

同社の試算によると、温室の設置には150万~200万ドルの資金がかかるが、1エーカー(約1200坪)の栽培スペースがあると、年間で30万~50万ポンド(136~226トン)の収穫が可能になる。水耕栽培は生育期間が30日程度と短く、無農薬の野菜は販売単価が高いため、1エーカーあたり年間100万~150万ドルの収益が期待できるという。

《アーバンファーム企業のビジネスモデル》

企業が手掛けようとするアーバンファームのビジネスモデルは、「都市の遊休地を活用」「早期収穫ができる水耕栽培」「安全な有機農業」「スーパーマーケットとの長期買い取り契約」という柱を組み合わせることで、高収益を狙うものである。

ただし、人工的な温室の中で促成栽培された作物の栄養価が、天然の野菜と比べて劣っていないのか、水耕栽培の野菜をオーガニック認定することに問題は無いのか、などの議論もされて、先行きが未知数な面もあるため、異業種の企業が人気に飛び乗ることにはリスクもある。

 アーバンファームの対象となっているのは、野菜だけではない。米国の内陸部では、新鮮な魚が手に入りにくいことに加え、汚染された海や湖よりも、水質管理された水槽で飼育されているほうが安全と考える人が多いため、都市の屋内で魚の養殖も行われている。

都市での養殖が流行っているのは、ティラピアという白身の淡水魚で、米国の家庭では、ムニエルのような調理方法で、一般的に食べられている。また、日本でも、「泉鯛(イズミダイ)」や「近鯛(チカダイ)」などの和名で、スーパーで売られていたり、日本食レストランでは「鯛(タイ)」として出されていることもある。

ティラピアは成長が早くて、0.5グラムの幼魚が半年間で450グラムほどに成長するため、未経験の人でも養殖がしやすいのが特徴。幼魚はネットからでも購入することができ、米国では養殖の開業キットも販売されている。

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JNEWS LETTER 2013.3.13
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