電気料金の無駄を発見する節電投資の着眼と関連ビジネス

JNEWS会員配信日 2017/4/9

 一般家庭が支払っている水道光熱費は、4人家族で月額平均が約2.5万円、年間では30万円のコストになる。これは世帯による差も大きく、電気代だけで月額3万円を超している家庭もある。ガスを使わずに、電力のみで調理、給湯、空調などのエネルギーを賄う「オール電化」は、2015年の時点で普及率が10%を超えた段階だが、新築住宅だけでみれば、4割以上がオール電化を選んでいる。

オール電化住宅は、ガスの燃料代をカットすることができる、火災のリスクが少ない、などのメリットがある一方で、電気料金の変動に影響を受けやすい欠点がある。2011年の震災以降は、電気料金が2割以上値上げされたため、オール電化のメリットは薄れたものの、逆に、太陽光発電とセットにして光熱費を下げようとする家庭が増えている。その取り組みは、首都圏よりも日照条件が良くて土地が広い、地方から進んでいる。

実際に、太陽光発電システムを導入することで、月々の電気料金を大幅に下げることは可能だ。太陽光パネルの出力にもよるが、標準サイズのパネルを屋根に20枚載せた場合(システム容量5.4kW)で、毎月19,000円の電気代がかかっていた家では、電力の自給分と売電収入を合わせて、月額10,000~13,000円の節電効果がある。

ただし、5kW台の発電設備を導入する初期費用は 150~200万円かかり、それを回収するには最低でも10年はかかる。さらに、定期的なメンテナンス費用として毎月1.5~2万円が必要。太陽光パネルは屋根への負担も大きく、雨漏りがしやすくなるリスクも考えると、太陽光発電の導入には投資的判断が必要になる。

太陽光発電を設置できるのは、「日照条件の良い場所に住んでいる」「太陽光パネルを設置できる屋根がある」という条件に合う世帯に限られるが、それ以外でも節電への意識は高まっている。家電製品全般が売れない中でも、省エネ型のエアコン、LED照明、冷蔵庫、高効率給湯器(エコキュート)などの販売は好調である。

古い製品を使い続けるよりも、節電型の新製品に買い換えたほうが「電気代が安くなる」というデータが示せれば、買替え需要を掘り起こすことができる。これは「節電投資」の思考によるもので、燃費の悪い車から、エコカーに乗り換えるドライバーの習性とも共通している。

近年では、IoTやバッテリー技術の進化により、車の燃費と同様に、毎月の電気代も工夫次第で下げられる方法が見つけられる。そこに節電投資の視点を加えることで、既存の電力業界とは一線を画して、新たな電力ビジネスを立ち上げることも可能だ。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です記事一覧 / JNEWSについて

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・見える節電をテーマにしたIoTビジネス
・スマートメーター利権と電気使用量データの共有
・住宅の分電盤を起点とした節電ビジネス
・電気を貯める家庭用蓄電池の潜在市場
・拡張可能なホームバッテリーのビジネスモデル
・大手とは差別化した新興蓄電池メーカーの事業戦略
・完全自由化でスタートする新電力会社の顧客獲得と代理店
・賃貸物件の管理コストを軽減させるIoTシステム
・投資マネーが流入する太陽光発電の利回りと次の新市場
・IoTビジネスの幕開けと家電メーカーのビジネスモデル転換
・ラズベリーパイを活用した起業モデルとIoTビジネスの入り口

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