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魚の高騰に備えて販売される
家庭養殖キットと食料調達の形態
JNEW会員配信日 日付 2013/3/13

 アーバンファーム(都市農業)の対象となっているのは、野菜だけではない。米国の内陸部では、新鮮な魚が手に入りにくいことに加え、汚染された海や湖よりも、水質管理された水槽で飼育されているほうが安全と考える人が多いため、都市の屋内で魚の養殖も行われている。

都市での養殖が流行っているのは、「ティラピア」という白身の淡水魚で、米国の家庭では、ムニエルのような調理方法で、一般的に食べられている。また、日本でも、「泉鯛(イズミダイ)」や「近鯛(チカダイ)」などの和名で、スーパーで売られていたり、回転寿司では「鯛(タイ)」として出されていることもある。

ティラピアは成長が早くて、0.5グラムの幼魚が半年間で450グラムほどに成長するため、未経験の人でも養殖がしやすいのが特徴。幼魚はネットからでも購入することができ、「Tilapia farming」では、養殖の開業キットを販売している。
15匹の幼魚を 49.35ドルで購入し、上手に育てて数を増やしていけば、家庭で食べる他に、販売して副業収入を得ることも期待できる。



米国内の魚の消費量は、中国に次いで世界2位で、日本よりも多い。しかし、流通している魚の9割以上は輸入品で、その中には、米国の漁船が水揚げした魚でも、他国に一度出して加工処理をした後、再輸入しているものもある。

そのため、米国の消費者にとって、新鮮な魚は手に入りづらく、鶏・豚・牛肉などと比べても高価な食材になっている。そのため、特別な高級魚でなくても、エサや水質を人工的に管理して安全に養殖された魚は、「オーガニックフィッシュ」として需要が拡大しているのだ。

一方、日本でも沿岸、沖合、遠洋を含めた漁業の漁獲高は、30年前には2兆円以上あったのが、最近では 9700億円にまで減少している。衰退の理由は、200海里規制、漁師の高齢化、燃料代の高騰、漁場の枯渇などがあるが、逆に中国は、食生活が豊になったことで、魚の需要が急拡大しており、これからの天然魚は更に入手しにくくなり、価格も高騰していくことが予測される。

《日本の漁獲量推移(沿岸、沖合、遠洋漁業の合計額)》

 

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この記事の核となる項目
 ●なぜ都市での農業が注目されているのか?
 ●地域別の一日あたり野菜摂取量からの分析
 ●アーバンファーム経営の特徴と利点
 ●家庭菜園とレストランとの仲介ビジネス
 ●土地を持たないフリーランス農業者の登場
 ●企業が手掛けるアーバンファームの収益性
 ●アーバンファーム企業の成功ビジネスモデル
 ●都市の屋内で行われる魚の養殖ビジネス
 ●CSAとワークシェアの融合による食料調達
 ●欧州ワイン農家が守る「信用」の築き方と新ビジネス
 ●米は買わずに「貰う」自給自足型農業コミュニティ事業


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JNEWS LETTER 2013.3.13
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