環境ビジネス・エコビジネス事例集
  
Top > 環境ビジネス・エコビジネス事例集
  急速な成長を続けてきた太陽光発電業界は、2011年頃から雲行きが怪しくなり、ソーラー先進国のドイツでは、大手メーカーが次々と破綻。その理由を検証することで、日本のソーラ業界、売電ビジネスの先行きを占うことができる。
JNEWS LETTER
2週間無料体験購読
配信先メールアドレス

Counter

RDF

twitter

Google

WWW を検索
JNEWS.com を検索
グリーン先進国、
ドイツ太陽光ビジネス崩壊から占うソーラー業界
written in 2012/9/1

 世界で最も太陽光発電が普及しているのはドイツで、2010年の時点で、国内全体でみた太陽光の発電容量は1737万kW、日本と比べて4倍以上の規模になっている。ドイツは、原子力に依存しない電力政策の方針を、2000年に決めており、それ以降は、太陽光発電の普及政策を積極的に進めてきたのだ。

《世界の太陽光発電導入量(2010年)》

 

その政策とは、太陽光で発電された電力を、魅力的な固定価格ですべて買い取ることを保証する「固定価格全量買い取り制度」を採用したもので、2004年に買い取り価格を3割(43.4ユーロセント/kWhから57.4ユーロセント/kWh)引き上げたことにより、普及率が大きく伸びている。

《ドイツの太陽光発電普及の推移》

 

本来、石油などのエネルギーは、市場の需給バランスによって、価格が常に変動しているが、太陽光、風力、バイオマスなどのグリーン電力については、ドイツ政府が発電者に対して、通常の電気料金よりも3〜5倍も高い価格ですべて買い取ることを約束、しかもその価格は20年間にわたり維持されることになっていた。

「発電した電気が20年にわたり高値で売れる」ということであれば、ビジネスとして確実に儲けることができるため、民間の企業も、大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を建設して、電力事業に乗り出したことで、ドイツの太陽光発電量は飛躍的に伸びていった。

しかし、高額すぎた売電価格の設定は、長期的には維持できないことが露呈して、2008年からは、買い取りの価格を大幅に引き下げる方針へと転換することとなった。さらに、発電された電力の「すべて(全量)」を買い取るのではなく、一部のみの買い取りへと変更された。

すると、発電者は、売電ビジネスの成功方程式が崩れるため、ドイツのソーラー業界は一気に冷え込み、「Solon(ソロン)」「Solar Millennium(ソーラーミレニアム)」「Solarhybrid(ソーラーハイブリッド)」「Q-cells(Qセルズ)」などの太陽光パネルメーカーが次々と経営破綻している。(映像は、Solonのパネル生産を紹介したもの)



《太陽光発電ビジネス崩壊のシナリオ》

 

 ドイツの「固定価格買取制度」によるグリーン電力政策は、崩壊するまで他国のお手本とされてきた。特に日本は、昨年の原発事故により、太陽光発電への期待が一気に高まったことから、ドイツのモデルと同様の仕組みを、これから実行しようとしている。

環境ビジネス・エコビジネス事例集一覧へ

この記事の核となる項目
 ●IDで管理される太陽光発電ビジネスの業界構造
 ●太陽光発電システムの集客ルートと採算の関係
 ●中小ソーラ業者が依存する集客代行業者とは
 ●独自ブランドによるソーラービジネスの展開
 ●補助金+売電による投資モデルの損得勘定
 ●ドイツ・ソーラ業界の破綻はなぜ起きたのか?
 ●太陽光発電ビジネス崩壊のシナリオ
 ●売電型ソーラビジネスが電気代を割高にするカラクリ
 ●公的資金が先導するグリーンビジネスの盛衰とライフサイクル
 ●原子力に頼らない電力ビジネスと節電市場(市民発電所の建設)
 ●急いで充電するほど割高になる電気自動車の燃費コスト
 ● マイホーム資産を守れ!目減りする"我が家"の担保価値


この記事の完全情報はこちらへ
JNEWS LETTER 2012.9.1
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。

■この記事に関連したバックナンバー
 ●公的資金が先導するグリーンビジネスの盛衰とライフサイクル
 ●住宅の資産価値を高めるソーラーリフォーム市場への関わり方
 ●日本でも本格稼働しはじめる風力ビジネスの仕組みと業界構造
 ●住宅の資産価値を高めるソーラーリフォーム市場への関わり方
 ●太陽光自家発電システムのスペシャリスト育成と紹介ビジネス