環境ビジネス・エコビジネス事例集
  
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  「第6次産業」とは、収穫した農作物を、生産者自らが加工して商品の価値を高めて、消費者に直販するビジネスのことを指している。労働単価の高い日本では、いかにして農業を6次産業化するのかが課題になっている。
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1次+2次+3次=第6次産業による
農業ビジネスの理想型
written in 2011/6/12

 日本の農水省が、今後の国内農業モデルとして推進したいのが「第6次産業化」というコンセプト。これは、「農作物を作る(第1次産業)」、「収穫物を加工食品にする(第2次産業)」、「商品を直販する(第3次産業)」という工程をすべてセットにした、次世代型の農業モデルを指している。

《第6次産業としての農業》

  

日本ではCSAがまだ広く普及していないが、農家が収穫物を会員向けに直販することは「第1次産業+第3次産業」の組み合わせといえる。そこへ、収穫物を加工品にして価値を高めることまで実現させると、まさしく「第6次産業」の農業になる。

既に米国では、第6次モデルを実行したCSA農家が登場してきている。米バージニア州で、アロマセラピストでもある女性経営者が運営している「Soothing Herbals」という植物農園では、医療、健康増進、料理などの用途で使う「ハーブ」を専門としたCSAで会員を組織化している。同農園で有機栽培された各種の植物は、そのまま出荷されるのではなく、乾燥させてハーブ茶にしたり、アロマ用の精油を抽出したり、スキンケア用オイルなどの加工品にした形で販売されている。

通常の小売りに加えて、CSA会員を募集していて、年会費は 55〜400ドルまで複数のコースに分かれており、消化作用、睡眠、ストレス解消などの効能があるハーブ、または料理で使うハーブの種類を選択すると、それが定期的に発送されるという仕組み。ハーブを常用している人であれば、個別に購入するよりも割安で、たとえば、年会費225ドルのCSA会員は、小売価格で330ドル分のハーブを分割して受け取ることができる。

《植物農園の第6次ビジネス例》

  

 農場が会員に対して提供できるサービスには、都会暮らしの大人や子どもに対して、自然とふれあえる機会を、農業体験を通して与えることも有意義である。CSA農場では、会員(出資者)を仲間、共同運営者の一員という考え方をしており、定期的なパーティに招待している他、農作業の義務付けがないところでも、ボランティアの作業協力者を募っている場合がある。

また、約100件の会員を抱える「Needle-Lane Farms」という農場では、大学で農業を学んでいる学生を、有給のインターン(研修生)して迎えることで、有機栽培の実作業を通した教育活動も行っている。日本では、農家の高齢化により、農作業の人手不足が深刻化しているが、CSA方式の農業では、それを解決できる人材ネットワークも築くことができる。

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この記事の核となる項目
 ●産直ビジネスへシフトする米国農家
 ●CSAによる農家独自の会員システム
 ●新たな農業起業のスタイルとしてのCSA
 ●CSA農家が会員を獲得しているノウハウの解説
 ●CSA農家のツイッター、フェイスブック活用事例
 ●会員(出資者)との対話によるリピーターの維持
 ●第6次産業としてのCAS農業
 ●植物農園がハーブを加工販売するの第6次ビジネス
 ●消費者との協業による新たな農業の形
 ●無線ブロードバンドで変わる田舎地域の兼業ワークスタイル
 ●原発震災が引き起こす食糧危機の考察(今秋以降の米不足)
 ●バーチャル農園で本物の野菜を栽培する農業の新スタイル
 ●スローライフ志向のエリート客を取り込む持続型レストラン
 ●感動をウリにする第5次ビジネスの正体と消費者の欲求願望


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