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未来生活で浮上する 医・職・教のキーワードと田舎暮し市場 |
written in 2007/6/20
新聞や雑誌ではセカンドライフに関する広告が目立つようになった。セカンドライフといっても仮想空間のことではなく、現実の世界における新たなライフスタイルのことである。超高層ビル群に囲まれてすべてが人工物で成立っている都市での生活も悪くはないが、それだけではやはり何かが足りないということで、田舎暮らしの体験ができるイベントがリタイア世代や若者達に人気だ。田舎暮らしの情報を発信する不動産業者の話では、築50年を過ぎたような田舎の古民家をセカンドハウスとして購入したいという問い合わせが非常に増えているという。
田舎暮らしへの憧れは、昨今のロハス志向から自然発生的に起こっているかのようにみえるが、じつはそこにも仕掛け人達の存在がある。彼らはそれぞれの意図や狙いで都会人に田舎暮らしを勧めるが、その仕掛け役の一人が地方の過疎化にストップをかけたい国や自治体である。国立社会保障・人口問題研究所が行った約30年後の都道府県別、人口推移は東京と沖縄だけが増えて、その他の地域ではすべてマイナスになるという予測だ。しかも地方ほど老年人口の割合が高くなるために、予測が現実のものとなれば税収入が減少して地方の財政は破綻してしまう。そこで都会に住む人に対して“田舎”との関わりを深めようとする取り組みが進められている。
総務省では過疎対策の具体的として「交流居住(こうりゅうきょじゅう)」という新たな田舎暮らしのライフスタイルを提案している。これは都会に住む人が、田舎にも滞在できる拠点を作ることにより、人口が自然減少していく過疎地域の活性化を図ろうとするものだ。交流居住の目的別プランとして以下の5種類が提唱されている。
《交流居住(田舎暮らし)の目的別プラン》
●短期滞在型(数日程度)
…旅館や民宿を利用して田舎暮らし体験をする。
●長期滞在型(数週間〜3ヶ月程度)
…別荘や空き家などで保養や趣味の時間を過ごす。
●往来型(1週間に2日程度)
…平日は都会で仕事(生活)して週末を田舎で過ごす。
●ほぼ定住型(1年の大半)
…仕事と住まいの拠点を田舎に移した本格的な田舎生活。
●研修・田舎支援型(1週間〜数ヶ月)
…農業や伝統工芸の技能を習得する目的で田舎に滞在する。
交通の便からすると、たしかに飛行機に乗れば東京から日本の両端まで2時間程度で行けるため交流居住は昔よりもしやすくなっているし、不動産の価格も東京とは比べものにならないほど安くて魅力的だ。しかし地元の若い世代がその土地に住まなくなっているのには、それなりの理由があるわけで、そこを詳しく把握せずに都会から田舎に移り住んだとしても憧れの生活は成功しない。では田舎暮らしを成功させるための秘訣はどこにあるのだろうか?古くから「衣・食・住」が生活の三原則といわれ、その3つが整えばどこでも生活が成り立つと言われてきたが、現代では衣食住が満たされているのは当然のことで、それ以上の近代的な環境が整わないと田舎暮らしは続かない。そのポイントとなるのは「医・職・教」の三項目である。生活をしていく上で十分な収入を得られるだけの職業が見つけられ、子育てや自分の知識を豊富に保てるだけの教育サービスが受けられ、しかも都会と遜色のない健康(医療)サービスが受けられる、という三拍子が揃えば、都会を離れて田舎に移り住む人達が増えるはずである。
この三拍子を揃えることは、先進的な技術や取り組みによって決して不可能ではないが、そう考えると、現代の田舎暮らしを成功させるには、都会の生活よりも高度なものが要求される。新たな田舎暮らしへの挑戦=未来生活への試金石といえるもので、それはこれまでの生活についての常識を見直す機会となりそうだ。
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JNEWS LETTER 2007.6.20
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