Written in 1999.7.19

　98年12月、静岡の地方新聞一面に、地場で有名な製茶メーカーが「インターネット通販から撤退」の記事が大きく掲載された。ブームの渦中に企業がオンラインショップを始めてみたものの、期待通りに売上が伸びずにしびれをきらして撤退していくという姿は、新聞メディアにとって恰好の記事ネタだったのかもしれない。

　この記事を読んだホームページ制作会社・有限会社クロスウェーブ（静岡県清水市）の鈴木盛喜社長は他社の出来事であるにも関わらず激しい苛立ちを覚えた。自分達がクライアント企業からの発注によりホームページ制作を手掛ける中で、「自分ならこうやるのに」と思いながらもクライアント側の要望と異なるために実現できないでいるプランは多い。これはホームページ制作会社が持つ共通した悩みである。

　そこでクロスウェーブでは「クライアントのホームページを制作」というしがらみから外れて、自分達が自由にノウハウや戦略を試すことができるオンラインショップを公開してみることを決意した。

商材選びと体制作り

　まずはページ上で販売するための「商材選び」からスタートする。「他では販売していない変わった商品」「良い商品」をキーワードに商材を探すが、「商品力があるから売れる」と言われたのでは本来のサイト運営目的は達成できない。そこでオンライン通販では定番商品である「パソコンソフト」の中で「ゲームソフト（ＰＣ用）」に的を絞ることに決めた。幸いにして以前から流通数社と付き合いがあったことから仕入に関してはスムーズに交渉がまとまった。

　次にサイトの仕様と運営規模だが、従来の業務と並行しながら作業を進めなくてはいけないため大掛かりなことはできない。新サイト構築に取り組むスタッフは２名（従来業務と兼務）で、投入できる予算は50万円に限定。そのためサーバーはオフィス内で遊んでいたP166のパソコンにLinuxをインストールし、CGIも自作・・という形でのサイト構築作業がスタートした。

　これが「PC-GAME.COM(http://www.pc-game.com/)」というサイトである。その後の売上は月商1000万円を超えるところまで成長している。

●ページ公開時の取り組み項目（顧客側ニーズの調査方法等）
●突破口となった輸入ソフト販売
●商品仕入における方向性の決め方
●PC-GAME.COMから学ぶべき事

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https://www.jnews.com/mem/back/detail/1999/199907/19990719_3.html
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