中学高校の運動部は、土日を含めて練習時間が多いことから、指導を担当する教員と生徒の両方が疲弊しており運営方法を変革する時期に差し掛かっている。外部コーチを雇うには従来の部活予算だけでは足りないため、学生スポーツにも収益化の方法が求められている。 (JNEWSについてトップページ
部活動改革で変わる少年スポーツ商業化の方向性

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JNEWS会員配信日 2022/6/21

 中学や高校時代には毎日のように部活動に明け暮れた思い出のある人は、昭和世代には多いのではないだろうか。しかし、現代ではそうした活動が「ブラック部活」と呼ばれており、見直されていく方向にある。

文部科学省が定めた学校部活動のガイドラインでは、1日の活動時間は平日が2時間程度、休日は3時間程度で、週に2日の休養日を設けることが明記されている。そのため、1週間の練習時間は平日4日と土曜日という日程でも、合計11時間以内とすることが望ましい。

しかし、日本スポーツ協会が調査したところでは、週11時間以上の練習をしている運動部は、中学校が41.9%、高校が74.2%となっており、部活に所属する生徒と、指導を担当する教員の両方に重い負担がかかっている。

《運動部の活動時間(1週間)》

学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書(日本スポーツ協会)

学習指導要領に「部活動には必ず加入しなくてはいけない」というルールは無いが、高校受験の内申書には部活動の成果が記載されることもあり、部活動への参加を強制化している中学校も多く、運動部の加入率は全国平均で67%と高い。しかし、部活動の練習に疲弊しているけれど辞められない子供は少なくない。

部活の顧問となる教員も、通常の勤務時間を超えて長時間の部活指導をする際の残業手当は基本的には無く、休日の指導では半日で3000円程度の「部活指導手当」が支給されるのみとなっている。全国大会を目指すような運動部では、担当教員が月に50時間以上を無報酬で指導しているが、労働基準監督署は、これが「労働基準法違反にあたる」として是正勧告を出している。

さらに、部活動の指導は専門外であり、過去にその競技を経験したことが無いまま指導している教員が多いことも問題視されている。スポーツ庁の調査では、運動部を担当する中でも、その種目の競技経験が無い教員の割合が45%を超しており、指導者不足は深刻である。

《運動部担当教員の競技経験》

こうした状況から、日本の学校部活動は限界に達しており、外部指導者を起用するなど、地域と連携した運動部の改革が急務の課題として浮上して浮上している。
しかし、指導者に正当な報酬を払うためには、従来の部活動予算だけでは足りないため、各部活が新たな収益源を作っていく必要もある。米国では、寄付を募ることの他にも、チームグッズの販売や地元企業をスポンサーに付けることなども行われており、少年スポーツとビジネスとの関係性が深くなっている。

米国でも中学生や高校生のスポーツ活動は活発に行われているが、日本との違いは、学校の部活動と各地域のスポーツ団体とが共存しており、所属する団体を変えたり、掛け持ちをすることが認められている点である。大学でも、高校時代に活躍した選手をスカウトするスポーツ推薦枠が充実しているが、そこでも学校の部活動と、地域クラブチームの両方から優秀な選手を公平に選抜している。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・米国の少年スポーツ育成と組織構造について
・部活動トライアウト対策のレッスン市場
・米国部活動の運営形態とコーチの報酬体系
・部活動を地域クラブへ移行させる変革方法
・教員コーチの兼業兼職モデル
・米国部活動を支えるブースタークラブの役割
・ブースタークラブが必要な社会背景について
・米国ソーシャルスポーツクラブが生み出す経済効果
・体育先生を派遣する事業の採算性と学校向け人材派遣業

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