インフレによる物価上昇が厳しい米国では衣料品の売上が減退する中で、古着を購入する消費者が増えている。コロナ以降はファストファッションの購入を古着に乗り換えようとする消費者層が2/5にまで増えている(JNEWSについてトップページ
ファストファッションから古着アパレルへの転換トレンド

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JNEWS会員配信日 2022/1/14

 日本では労働者の給与所得が年々減少しており、1990年代には平均が460万円だったのが、2020年は430万円という水準で低迷している。給与が増えないのは、不景気が理由ではなく、労働市場の構造が変化しているのが主な要因である。

正社員の他に、非正社員としての働き方が多様化していることや、女性の就労率が上昇したことで、全体の労働力人口は増えており、1人あたりに分配できる給与額は減っていく。さらに、働き方改革によって労働時間が短くなることも、年収ダウンの要因になる。労働構造の変化により、最も影響を受けやすいのは、職場での立場が弱い10~20代の世代である。

《日本の世帯年収分布》

こうした状況は、他の先進国でも共通している。米国では個人年収が1990年代から2020年にかけて2倍に上昇したが、同時に消費者物価も上昇しているため、生活が楽なわけではない。物価上昇分を調整した実質年収でみると、個人年収は35,000ドルにまで落ち込み、給与収入だけに頼らず、副業や投資を含めた家計収入を増やしていくことが、生活を豊かにするための攻略点になっている。

《米国の表面年収と実質年収(中央値)》

■出所:FRED economic data

生活物価の上昇に対して、消費者は賢い節約で防衛しようとするのが2022年のトレンドであり、「Thrifting(スリフティング=節約)」がキーワードとして流行っている。具体的な節約生活としては、中古品やリサイクル品を上手に活用することが、新たなライフスタイルになっている。これは環境に配慮した持続性重視の買い物スタイルとしても理に適っている。

古着専門ECサイトの「thredUP」が発表したレポートによると、パンデミック以降は消費者のアパレル購入額が減少する中でも、古着の購入意欲は高まっている。
消費者の2/5はファストファッションの購入を古着に変えると答えており、その傾向はミレニアル世代とZ世代の若い層になるほど高い。

これは、コロナ禍の外出自粛が続く中で、最新のファッションを追いかける必要は無い考える消費者が増えていることや、子どもの服を古着で調達する家庭が増えていることなどが要因となっており、2030年には、古着の売上がファストファッションの2倍になることが、米国では予測されている。

2021 Fashion Resale Market and Trend Report(thredUP)

このトレンドが、日本にもそのまま当てはまるとは限らないが、服を使い捨てにしないサステナブルファッションを支持する声は、次第に高まってきている。環境省の調査によると、消費者1人あたりが年間に購入する服は18着。それに対して手放す服は12着で、年間に一度も着用されない服として、平均25着がタンスやクローゼットで眠っている。手放す服も7割はゴミとして捨てられていることから、これらの古着を再循環させていくことは、社会的な課題であり、ビジネスチャンスとして浮上してきている。

《着なくなった服の処分方法(日本)》

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