2021年の金属相場は 、ニッケル、アルミニウム、金、白銀などのレアメタルが軒並み高騰。背景には、コロナの影響で需給がひっ迫していることに加え、脱炭素社会への移行で生産工場への規制が厳しくなっていることがある。それに伴いレアメタル回収業への注目度が高まっている(JNEWSについてトップページ
脱炭素社会の資源インフレで伸びるレアメタル回収

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JNEWS会員配信日 2021/7/8

 コロナ禍以降、工事現場や資材置き場から金属類の盗難が増えている。こうした盗難事件は金属相場が上昇している時期に起きる特性があるが、鉄スクラップの取引価格は2019年末に1トンあたり25,000円だったのが、2021年6月には51,000円にまで高騰している。

《鉄スクラップの価格推移》

要因として考えられるのは、コロナ禍で鉄鋼の供給量が減少した一方で、自動車や建設業界での需要が伸びていること。また、世界生産量の57%を占める中国がカーボンニュートラル(脱炭素)実現のため、2021年以降の生産量を抑えてきていることが関係している。中国政府は、2060年までにCO2排出量を実質ゼロにする計画を打ち出しており、環境水準やエネルギー消費効率の低い製鉄工場に対しては、生産量の制限をかけるようになっている。

《粗鋼生産量の国別シェア率(2021年)》

同様に、電気設備に使われている「銅」も、過去10年間で最高値を付けている。
電気自動車(EV)の時代には、モーターのコイルや配線で、ガソリン車よりも3~4倍の銅が必要になり、駐車場に設置される急速充電設備でも1基あたり8キロもの銅が使われている。

自動車に限らず、クリーンエネルギー発電で使われるモーターやケーブルにも銅が不可欠であることから、銅の先物市場には、メーカー企業からの購買需要に加えて、投機筋の思惑買いが相場を押し上げている。その他にも、ニッケル、アルミニウム、錫(スズ)、金、白銀などの貴金属価格は軒並み上昇している。

さらに、食料相場とカーボンニュートラルの関係も大きく、世界の農場では従来の生産方式を見直す必要に迫られている。国連食糧農業機関(FAO)の研究では、温暖化ガス排出量の中で、約3割は食品の生産~流通の工程で生成されることが判明しており、これらを改善することが課題になっている。

たとえば、牛肉は畜産業の中でも温室効果ガス排出量が65%を占めている。その多くは牛の腸から出るメタンガス(ゲップやオナラ)によるもので、その排出量を減らす飼料の開発や、牛肉を使わない人工肉の開発が新たなビジネスチャンスになっている。

20世紀の時代には、大量生産によって効率を高めて、商品を安く売る競争が展開されてきたが、コロナ禍を経験した世界は、環境問題を軽視したコストダウン重視のサプライチェーンを見直す風潮が高まっており、それが、急速に進む資源高騰へと繋がってきている。このトレンドは、事業者と個人(消費者)、それぞれの立場で意識する必要があり、新サービスの開発と新たな生活スタイルを模索していくことが大切だ。今回のレポートでは、これからどんな資源が高騰していくのか、その対策や代替となるサービスの動向について解説していきたい。

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・求められるレアメタル回収の合法スキーム
・宅配便による廃棄パソコンの無料回収スキーム
・歯科スクラップの買い取りビジネス
・自動車電動化によるガソリン価格の高騰問題
・環境規制で衰退する中古車市場の動向
・牛肉が食べられなくなる環境社会の到来
・牛肉に代わる人工肉の開発と販売動向
・牛のゲップを減らすサプリ開発と収益モデル
・生鮮品の劣化を防ぐコーティングと腐敗防止技術
・コロナ危機で生じる食糧問題の特徴と新フードビジネス
・海洋プラスチック規制で浮上する脱ペットボトル事業
・廃棄食品の仲介をするフードバンク事業のビジネスモデル

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