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コロナワクチン接種で形成されるデジタルヘルス社会

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JNEWS会員配信日 2021/2/1

 日本でも、新型コロナワクチン接種の準備が進められている。厚生労働省の情報提供によると、ワクチン接種は強制ではなく、副反応のリスクを理解した上で本人の意志で受けることになる。副反応で後遺症などが残る確率もゼロではないため、万が一の事態に備えた健康被害救済制度も用意される。

新型コロナワクチン接種についてのお知らせ(厚生労働省)

予防接種の第一陣となるのは、医療現場で新型コロナの治療にあたっているか、これからワクチン注射を担当することになる医療従事者の予定だ。

医療人材サービスのエムステージが全国の医師483名に行ったアンケート調査では、7割以上の医師が、副反応のリスクを懸念しているが、その一方で、9割以上の医師は、「ワクチン接種の勤務があれば、希望する」と回答している。

自分の健康リスクを意識しながらも、接種業務への参加に前向きなのは、医師としての使命感に加えて、コロナで減少した収入を補いたいという理由もある。同調査に回答した医師の5割は、コロナ禍で「年収が減った」「常勤先を解雇された」「救急車を受け入れなくなってインセンティブが減った」などの影響が出ている。救急対応の病院では、当直時に救急患者を受け入れた数だけ、医師の給与にインセンティブが上乗せされる仕組みになっている。

医師に対する新型コロナワクチン接種のアンケート

医師に限らず、アフターコロナの社会では、ワクチン接種を受けた人と、受けていない人との間で、旅行や出張で移動できる範囲や、従事できる職務の内容にも差が生じてくることが予測されている。

日本政府は、ワクチン接種済みの人に対して「接種証明」を発行することを計画しているが、世界では「ワクチンパスポート」の電子証明システムが構築されつつあり、飛行機に搭乗したり、大規模なイベントに参加する時には、認証をパスしないと入場できないようにするルール作りも検討されている。これについては、感染対策とプライバシーの両面から賛否両論があるが、コロナワクチン普及後の社会は、人々の行動様式が変化していくことは間違いなさそうだ。

【世界に先駆けたイスラエルのワクチン接種】

 2021年1月末時点で、新型コロナワクチンの接種件数が多いのは、米国、中国、英国だが、人口100人あたりの接種回数ではイスラエルが44.7回と最も多い。イスラエルは米ファイザー社との間で、毎週40万~70万回のペースで1,000万回分のワクチンを供給してもらうのと引き換えに、接種した国民の健康データ(年齢、性別、病歴、ワクチンの効果、副作用など)を提供する「共同研究」としての契約を交わしている。この契約内容については、イスラエル政府がネットでも公開している。

REAL-WORLD EPIDEMIOLOGICAL EVIDENCE COLLABORATION AGREEMENT

共同研究とはいえ、ファイザー社からのワクチン提供は無償ではなく、他国の調達単価(15~20ドル)よりも高い価格で購入していることを、イスラエル政府は認めている。日本でも、イスラエルのワクチン接種が成功している旨のニュースが流れるようになってきたが、その情報にはイスラエル政府とファイザー社のバイアスが若干かかっていることも意識しておくべきだろう。

現地の新聞によると、2021年1月の時点でイスラエルの人口900万人のうち、40歳以上の250万人が1回目のワクチン接種を受けており、現在は16~18歳の高校生に対しても、保護者の同意があれば接種を受けられるキャンペーンを拡大している。
この接種を受けないと、休校から再開する学校に復学できなかったり、入学試験を受けられないなどの弊害が起きる可能性もあるようだ。

イスラエルでも、コロナワクチンの接種は強制的なものではないが、コロナウイルスの蔓延を防ぐための行動規則が同国にはあり、そのルールに反した個人や団体(学校や企業など)に対する罰金額を引き上げることが計画されている。

《国別の累計ワクチン接種数》※2021年1月27日時点
 
《国民100人あたりのコロナワクチン接種数》

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JNEWS会員レポートの主な項目
・世界に先駆けたイスラエルのワクチン接種
・大量ワクチン接種の方法と問題点について
・英国のワクチン接種状況について
・集団ワクチン接種センターの仕組み
・日本で準備されるワクチン接種体制
・国際的に是正されワクチン流通ルート
・ワクチンパスポートの仕様と開発動向
・航空業界に導入されるデジタルヘルスパス
・在宅勤務からの復帰で求められる従業員ヘルスパス
・中国に依存する医薬品のサプライチェーン構造
・8割を占めるコロナ軽症者向け遠隔診療サービスの開発
・アフターコロナに訪れるニューノーマルのビジネスモデル

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