2021年は新型コロナの影響により、富裕層とマス層との間で収入格差が更に開くことが予測されている。それは両者の収入構造の違いからも鮮明になっている (JNEWSについてトップページ
2021年の着目点(収益構造からみた貧富格差)

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JNEWS会員配信日 2020/12/26

 歴史を遡ると、大勢を占めていた世の中の常識や価値観が一瞬で変わる時がある。2020年は、まさにそんな一年だった。外出する人々はすべてマスクを着用し、他人との食事はできるだけ控え、大勢の人が集まるイベントは大半がキャンセルになった。

国際通貨基金(IMF)によると、新型コロナの影響により世界が被る経済損失は、今後の6年間で約28兆ドル(約3000兆円)と試算している。2021年からはワクチン接種が開始されるだろうが、安全性と有効性の確認、製造と流通の問題などにより、世界の人口全体に供給されるまでには、2~3年はみておく必要がある。

国内の景気動向については、パンデミックが起きた当初の予想よりは悪化していない。これは、公的なセーフティーネットによる効果で、国の助成制度や融資が積極的に行われて、家計収入も大きくは減少していないためだ。しかし、公的な支援は永続的なものではない。

国内経済はカンフル注射を打ちながら何とか持ち堪えている状況で、雇用の状況をみても、今のところは飲食業、観光業、娯楽業などにダメージが集中しているが、2021年、2022年の新卒採用を控える動きは、広い業界に波及しはじめている。

転職市場についても、コロナ前とコロナ後では状況が一変した。2019年末まではハローワークの有効求人倍率がおよそ1.5倍の「売り手市場」で推移していたのが、2020年以降は1倍を割り込み、すべての業界で求人数が減少した。今の状況で好条件の転職ができるのは、高度なスキルや経験のある専門人材に限られている。

《各業界の求人動向(2020年10月時点)》

一方で、株式市場は2020年2月~3月にかけて3割近く下落したが、その後は急回復して、2020年11月には30年ぶりの高値を付けている。コロナショックに狼狽売りをせず、株式を保有し続けた投資家にとっては、資産額を伸ばす結果となった。この背後にあるのは日銀マネーの増発であり、国内のマネー供給量(マネタリーベース)は1年間で17%増えている。

《国内マネー供給量の推移》

野村総研の調査によると、日本では純金融資産(貯金、株式、生命保険などの金融資産から負債を引いた金額)の保有高が3000万円未満の世帯は、全体の78%を占めており、1億円以上の純金融資産を持つ富裕層は2.4%に過ぎない。しかし、富裕層は15年前と比べて、127万世帯から221万世帯に増えている。

《階層別の保有資産と世帯数の推移》

コロナ禍では、働き方や資産運用の方法によっても格差がさらに開いている。格差は金融資産だけでなく、健康問題にも及んでいるのがコロナ以降の特徴であり、従来の常識やマニュアルに従うだけの生き方では、安全で幸福な生活を確保することも難しくなってきている。そうした動向から、2021年は有望ビジネスのトレンドがどのように変化していくのかを考えていきたい。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・会社員の給与収入が伸びない社会構造
・縮小インフレ経済が進行する中での成功法則
・プライベートブランド商品の争奪戦
・パンデミック後に成長する中古再販ビジネス
・アパレルブランドが手掛ける古着回収ビジネス
・2021年のデジタル設備投資テーマ
・脱ハンコ政策と電子契約の普及について
・感染対策で推進されるInternet of Behavior(IoB)
・コロナインフレで広がる貧富格差と富裕層の資産構成
・アフターコロナに訪れるニューノーマルのビジネスモデル
・高速売買が引き起こすコロナショック株価暴落の特性

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JNEWS LETTER 2020.12.26
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