従業員のやる気や能力を引き出す上で、職場の業務をゲーム化した働き方(ゲーミフィケーション)が注目されている。ストレスやプレッシャーを抱えている時よりも、ゲームのように楽しみながら働いている時のほうが、集中力は高まり業務成績が向上することは科学的にも実証されている(JNEWSについてトップページ
仕事をゲーム化して売上を伸ばす未来の働き方

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/8/27

 昭和から平成の時代にかけて、企業は従業員にノルマやプレッシャーをかけることで業績を伸ばそうとする手法が常態化していた。しかし、人間は過度のストレスをかけられるほど、個人本来のパフォーマンスを出せないことは、科学的にも実証されるようになっている。

短期的なストレスは、体内のアドレナリンを上昇させて、差し迫った目標や課題をクリアーする前向きなエネルギーになるが、ストレスが常態化している職場では、仕事に対するモチベーションの低下や、体調不良を起こしやすい。

ただし、特筆すべきなのは、同じ目標を与えられたとしても、それをストレスと感じる人と、感じない人に分かれることである。わかりすいのは、大学入試や資格試験などの受験勉強で、大半の人はストレスを感じる中でも、一部の人は勉強することを「楽しい」と感じている。これを脳科学で説明すると、快楽物質のドーパミンが分泌されている状態で、新しい知識を習得できるのは楽しい→テストのスコアが上がる→さらに学習意欲が高まる、という快感の報酬回路が形成される。

子どもから大人までが、ゲームに夢中になるのもドーパミンの分泌が影響しているという研究報告がされている。スタンフォード大学の学生を被験者として、ビデオゲームをしている時の脳をスキャンした実験では、視覚・感覚・運動機能などの複数の領域で、脳内が活性化している様子がみられた。さらにゲームで最高得点を獲得した被験者は、線条体や側坐核(そくざかく)という神経細胞から、最大値のドーパミンが放出されていることが確認された。

ただし、ドーパミンによる快楽効果は、タバコを吸うのと同じように短く、頻繁に繰り返される特性がある。そのため、ゲーム開発者がヒット作品を生み出すには、ゲーム内に多くのステージを設定して、小さな目標をクリアーする度に快感が得られるような仕組みを作ることが効果的である。

■参考:Video Games Can Activate the Brain's Pleasure Circuits

企業が従業員のパフォーマンスを最大限に引き出す上でも、目標に対するプレッシャーやストレスを与えるのではなく、快感の報酬回路を作ることが重要で、その具体策として、仕事をゲーム化すること(ゲーミフィケーション)が注目されている。これからの戦力となる10~20代は、モバイルゲームで育った世代でもあり、ゲーミフィケーションとの相性が良い。

米国の大学では、学生向けに提供する学内ポータールアプリの中で、授業への出席、課題レポートの提出、図書館での自習、サークルやイベントへの参加など、学内での活動に対してポイントを付与する形のゲーム化をすることで、中退者を減らすことや、学業成果を伸ばすことに役立てる手法が流行り始めている。卒業までにトータルで獲得したスコアは、公式な成績証明として活用することができ、就職にも役立つように設計されている。

それと同様に、職場での仕事をゲーム化することは「Gamification at Work」と呼ばれ、多様な職種をゲーム感覚で行えるようにすることが、未来の働き方として期待されている。

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