全国で増えている「子ども食堂」とフードロス対策には接点がある。賞味期限が近くなり小売店の店頭から撤去された食品は、これまで廃棄されていたが、フードロスを減らしていく社会的な風潮が高まっていることから、子ども食堂に対して無償寄付されている。 (JNEWSについて
賞味期限切れ食品を捨てないフードロス対策と子ども食堂

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/2/26

 日本では年間に8,400万トンの食品が流通しているが、その中で「食べられるのに捨てられている食品(食品ロス)」は、646万トンにもなる。これは、大型(10トン)トラックで毎日1,770台分の食品を廃棄していることになり、年間1人あたりでは51kgもの食品を無駄している計算だ。

食品ロスは、飽食時代の象徴とも言えるが、日本人の食事を巡る環境は、必ずしも良いわけではない。朝食を食べない欠食率は年々増加する傾向にあり、20代では約3割が欠食をしているし、子ども(小学生~中学生)の欠食率も6%近くある。さらに時代を反映するのは、孤食の割合が増えていることである。

食事は家族とのコミュニケーションをとる大切な時間でもあるが、最近では、共働き世帯の増加や、家族関係の変化により、大半の食事を1人で食べる孤食者が増えているのだ。農林水産省の調査によると、ほとんど毎日の食事をすべて1人で食べる孤食者の割合は、15%以上にまで増えている。

《全ての食事を毎日1人で食べる孤食者の割合》


孤食は子どもにとっても深刻で、ひとりの食事を続けていると栄養面の偏りが生じやすいことや、人とのコミュニケーション不足により、人間関係が苦手な性格に育ってしまうことが懸念されている。そこで、民間のNPO団体などが運営する「子ども食堂」が全国的に広がっている。

子ども食堂とは、地元の公民館や空き店舗などを利用して、週に1~数回のペースで、手作りの食事を提供するものである。料理の調理はボランティアが担当して、食材の調達は市民からの募金や企業からの協賛金、または、食材の現物寄付によって賄われている。そのため、子どもから徴収する食事代金(参加費)は、無料または1食あたり100~300円程度に抑えられている。

子ども食堂の取り組みは、5年程前から草の根的に広がり始めたものだが、現在では全国各地の約2000ヶ所で運営されている。地域の自治体も、公共施設を会場として提供したり、補助金を支給するなどの協力姿勢を示しており、利用者を子どもに限定することなく、高齢者も参加できるようにして、新たな地域交流の拠点にすることも計画されている。

子ども食堂ネットワーク

《子ども食堂の運営モデル》

じつは、子ども食堂の普及とフードロス対策には接点がある。多少の傷があって売り物にならない野菜や果物、賞味期限が近くなり小売店の店頭から撤去された食品は、これまで廃棄されていたが、フードロスを減らしていく社会的な風潮が高まっていることから、子ども食堂に対して無償で寄付されるケースが増えている。

これから数年のうちには、食品衛生上の問題が無く、まだ食べられる商品を廃棄することが禁止される法律が制定される可能性もあり、食品業界では売り場に並べられなくなった商品の再流通化を模索しはじめている。

子ども食堂への寄付はその一例といえるが、できるだけ商品価値を落とすことなく、社会的にも支持される方法で、余剰食品を有益に処分する方法が求められている。そこでは、具体的にどんな事業が成り立っているのかを、本レポートでは解説しています。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・フードロス対策法と食品廃棄の実態
・食品賞味期限管理の3分の1ルール
・売れ残り食品の仲介をするフードバンク
・米国フードバンクのビジネスモデルと収益構造
・貧困層の実態とフードバンクの役割
・余剰食品を収益化するフードシェアリング
・欧州で成長する賞味期限切れ商品の再販ビジネス
・セルフオーダー端末による飲食店の客単価向上と経営改革
・漁師から飲食店への流通改革を仕掛けるフードテックビジネス
・eフードビジネスによる中小飲食店の生き残りと再生の方向性
・世界の食料不足に備えたアーバンファーム(都市農業)への着目

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2019.2.26
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