地方の過疎化対策として、市街化調整区域の用途制限を規制緩和する動きが全国的に拡大。それに伴い、不動産業者や投資家の中では、市街化調整区域にある空き家や遊休地の再開発が新たな不動産投資のテーマとして浮上(JNEWSについて
規制緩和される市街化調整区域を狙った不動産投資

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/9/23

 不動産の価値は、立地条件を元にした需給のバランスによって決まるが、もう一つの大きな変動要因に「法律」がある。その地域を開発できる条件や用途は、農地法、都市計画法、建築基準法など法律によって決められており、自由に開発ができない土地は二束三文の価値にしかならない。しかし裏を返すと、法律の改正(規制緩和)があれば、その地域の不動産価値は跳ね上がることになる。


最近の不動産政策として、規制緩和の流れにあるのが、地方都市の郊外にある「市街化調整区域」の開発許可基準である。背景にあるのは、地方の過疎化による空き家の急増で、そのまま放置することは防災や防犯の面からも良くない。空き家や空き施設の再生や活用については、色々なビジネスプランが考えられているが、市街化調整区域のエリア内にあることから、思うように再開発ができないケースが多々ある。

原則として市街化調整区域の建物は、農家が住むための住宅や、地域住民の生活に必要な日品店舗(飲食店、コンビニ、薬局、診療所など)に限られており、中古物件としての売買や建て替えは制限されている。そのため、不動産としての流動性や担保価値は低く、空き家となった中古物件を売却しようとしても買い手が付かなかったり、買い手が現れても住宅ローンの審査が通らないなどの問題点がある。

不動産サイトを見ると、調整区域で空き家になった農家住宅が安値で売りに出ていることがある。都会からの移住希望者が、その家自体を購入することは可能だが、移住生活を開始した時点で「農家住宅」とは異なる使われ方をしているため、役所の解釈では「違法建築物」の扱いになってしまう。実際のチェックはそれほど厳しくないため、農家住宅を購入してセカンドハウスとして使用しているケースはあるが、家が古くなり、建て替えをする時には、新たな建設許可を取得することができない。これでは、不動産としての価値は無いのも同然だ。

《市街化調整区域物件の売買例》

しかし、平成28年からは、国土交通省が市街化調整区域の開発許可指針を一部改正して、各自治体は地域の実情に応じた、弾力的な許可ができるようになっている。わかりやすい用途としては、調整区域内の空き家を、観光振興を目的とした宿泊施設にすることや、都会からの移住者向け住宅として変更する例などが挙げられている。

市街化調整区域の開発許可指針を一部改正(国土交通省)

どんな開発案件を認めるのかは、各自治体の判断に任されているが、移住者向け住宅、観光振興に役立つ施設、企業のサテライトオフィス、高齢者向けの施設などは、地域の経済や、既存の住民コミュニティを維持する上でも有意義なため、開発が認められていく可能性が高い。そこで、一部の投資家や不動産業者の中では、市街化調整区域内の優良物件を物色する動きも出てきている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・都市に隣接する市街化調整区域の潜在価値
・規制緩和される調整区域物件の再開発
・地方の人口減少と調整区域規制緩和の関係について
・観光振興を目的とした調整区域の再開発モデル
・調整区域専門の不動産コンサルティング
・調整区域を活用したフットサルコート事業の開業
・調整区域でも可能な高齢者賃貸住宅の経営モデル
・民泊新法で掘り起こされる法人企業の遊休不動産再生ビジネス
・人材に依存する介護業界の採算構造と介護士資格のキャリアパス
・過疎地に眠る遊休物件を活用したローカルビジネスへの着眼
・空き家管理サービスの成長市場と二拠点居住モデル

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