不動産クラウドファンディングは、地方の商店街や古民家を再生する手法としても採用され、小口で出資を集められる事業者の条件が緩和。REITに次ぐ新たな不動産投資としても注目されているが、リスクも理解しておくことが重要(JNEWSについて
法改正で加熱する不動産クラウドファンディング投資

JNEWS会員配信日 2018/8/21

 不特定多数の個人から小口の出資を募り有意義な事業を立ち上げようとする「クラウドファンディング」は、スモール起業家の資金調達方法として定着してきたが、それを不動産投資にも活用しようとする動きが本格化している。契機となったのは、2017年6月に改正された「不動産特定共同事業法」という法律である。

もともとの不動産特定共同事業法(不特法)は、バブル崩壊後の平成6年(1994年)に制定されたもので、大手のデベロッパーなどが、複数の投資家から調達した資金で、耐震性の劣るビルの建て替えや、高齢者向け住宅の開発を行い、そこから得られる利益を投資家に分配するスキームが合法化された。投資家から資金を調達する事業者には、一定の基準(資本金1億円以上の宅建業者など)を設けた上で、国や都道府県の許可制とすることで、投資者の利益を保護することを目的としている。

その後、空き家や空き店舗など遊休不動産の活性化を図るために、不特法は規制緩和の流れにあり、平成25年(2013年)、平成29年(2017年)に改正が行われている。


2017年の改正では、投資対象が1億円以下の小規模な開発プロジェクトに対しては、中小の不動産業者でも“届け出”だけで、複数の投資家から 100万円以下の出資を募って再開発を行う「小規模不動産特定共同事業」が行えるようになった。
さらに、出資者の募集にはインターネットを活用して、契約書面もオンラインで交付することが認められた。これは、小規模な不動産投資のクラウドファンディングが行えることを意味している。

《小規模不動産特定共同事業者の主な要件(平成29年創設)》
  ※出所:小規模不動産特定共同事業パンフレット

中小の不動産業者がこのスキームを利用すると、複数の個人投資家から1人あたり 100万円以下の出資を募り、遊休地に賃貸アパートを建設、賃貸して得られる家賃収入を分配したり、田舎の古民家を再生して収益化するような事業も共同で行えるようになる。

投資家にとっても、多額の資金を借り入れして“不動産大家”になることはリスクが大きいが、クラウドファンディングであれば自己資金の範囲で小口の出資をして、収益の分配金を得ることができる。

《不動産クラウドファンディングのモデルケース》

不動産の小口投資には「REIT(不動産投資信託)」を購入する方法もあるが、こちらは平均利回りが年率3~4%で安定はしているものの、それ以上の高利回りを期待することは難しく、不動産市況によって基準価格が日々下落するリスクもある。

それに対して、不動産クラウドファンディングは、自分の裁量によって投資するプロジェクトを選別、分散投資をして、リスクとリターンのバランスをコントロールしていくことができる。元本が100%保証されるわけではないが、ファンドの契約が履行されれば、予定された期日に出資額の返還や分配金が得られるため、REITよりも高利回りで、ソーシャルレンディングと同じ投資手法を実行することができる。

不動産業者にとっては、個人投資家から小口で広く調達した資金で遊休不動産を取得、再生した後に、転売や賃貸で収益を得られるようになることから、クラウドファンディングは新たな不動産開発の起爆剤になる期待もされている。ただし個人投資家にとっては、加熱する不動産市場に中に資金を投下することになるため、最悪の場合には資金が返還されないリスクも伴うため、不動産クラウド投資の仕組みを充分に理解した上で、取り組む必要がある。

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