消費者の中に起きている「ミニマリズム」は、モノに依存することのストレスから脱却し、最小限の買い物で快適な生活をしようとするもの。小売業にとっては逆風と捉えがちだが、逆にミニマリスト向け新サービスを打ち出せるチャンスでもある。
モノ依存から脱却するミニマリスト向け不用品売却サービス

JNEWS会員配信日 2016/9/30

 「ミニマリスト」のライフスタイルに関心を示す人が世界で増えている。物への執着から離れて、質素ながらも快適な生活を目指すものである。

もともとのミニマリズムは、彫刻や絵画の世界で、装飾的な部分をできるだけ削ぎ落として、シンプルな色と形で作品の本質を表現するものだが、日本の「侘び寂び(わび・さび)」が追求する、素朴で静かな美意識と共通するものがある。

現代の生活は様々なモノで溢れているが、所有するモノを増やすことで充足感を得ようとする価値観は古いものとなり、逆に、不要な物を溜め込むことが、無駄な生活コストを押し上げ、ストレスの原因になっている。

日本の住宅面積は、昭和の頃よりも2割以上広くなり、家族の数は減っているにも関わらず、家が広くて快適と感じている人は少ないだろう。それは、家が広くなるほど、無駄な物を増やしてしまう習性があるためだ。

《日本の住宅面積推移》

    持ち家 民間借家
  昭和43年
昭和53年
昭和63年
平成10年
平成20年
平成25年
97.4平米
106.1平米
116.7平米
122.7平米
122.6平米
122.3平米
34.1平米
37.0平米
41.7平米
42.0平米
43.4平米
44.3平米
 ※出所:国土交通省(住宅経済関連データ)

ミニマリストのライフスタイルが流行っている背景には、「モノに依存したストレス」から離脱したいという生活者の想いがある。従来、不用品を処分する方法としては、eBayなどネットオークションが利用されていたが、大きな家財道具を遠方の落札者に発送するのは不便なことから、それを代行したり、近隣の住民を対象に手渡しができるサービスが考案されている。

メーカーや小売業業者にとって、ミニマリズムの台頭は「消費意欲の抑制」を引き起こすマイナスの要因になるが、逆にミニマリストに向けた新サービスを打ち出せるチャンスでもある。

たとえば、大塚家具では、「新しい家具は買いたいが古い家具の処分に困る」という消費者の声を受けて、家具の下取りサービスを開始した。ただし、中古の大型家具を店に持ち込んで査定してもらうことが難しいため、オンライン査定の仕組みが考案されている。


ミニマリストとしての工夫は、企業にも応用することが可能だ。オフィスの中にも、不要になった物や、無駄な物はたくさん眠っている。そのスペースを整理整頓すれば、実質的な家賃コストを下げることができるため、専門のコンサルタント業が成り立つ。さらに、新たな起業家の中でもミニマリズムの価値観が広がりはじめて、会社経営のスタイルにも変革の波が訪れている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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 ●オフィスのスペースを最適化する発想と方法
 ●ミニマリズムが変える「成功」の価値観
 ●ミニマリストが理想とする起業スタイルと事業形態
 ●ミニマリストが好むホームオフィスの利点
 ●シェアリング経済を先導するツールライブラリー
 ●過小評価されているモノの資産価値と買取専門業者

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