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  洗剤、カミソリ、ヘアケア用品などの生活日用品は、安定したリピート購入が見込めるため知名度の高い商品にはブランド価値が認められるようになっている。P&G社は70以上の商品ブランドを持ち、新たなブランドの買収や売却により会社全体の収益性を高めている。
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消費者のリピート購入を促す
日用品ブランド構築とボックス開発
JNEWS会員配信日 2015/11/8

 一般的なファミリー世帯が1ヶ月に生活費として使う金額は、2000年には平均で34万円だったのが、2014年には29万円にまで減少している。年間でみると60万円もの落ち込みである。小売業の売上が低迷しているのも、こうした厳しい台所事情が影響している。



支出の内訳で何を節約するのかは、各家庭によって考え方が異なるが、家電製品や家具のような家財道具は、買い換えのサイクルをできるだけ延ばし、贅沢品の購入も控えるのが、やり繰りの基本になる。それでも、毎月の生活に必要な食料品や消耗品の出費は意外と多く、生活費全体の7〜8割を占めている。

これからの小売業は、上流の顧客層にターゲットを絞って高級品を売っていく道もあるが、広い消費者をターゲットにしたいのであれば、生活に密着した消耗材の売り方を見直してみるのも有意義だ。この分野の収益性は想像よりも高く、ブランドビジネスとしての側面も持っている。

世界的な一般消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル社(P&G)では、家庭用洗剤、紙おむつ、化粧品、生理用品、ヘアケア商品、カミソリなど分野で約70の商品ブランドを持ち、その中の23ブランドが各10億〜100億ドル、14ブランドが 5〜10億ドルの売上を上げている。

P&G社全体の年間総売上は 830億ドル(約10兆円)で、営業利益率は18%という優良企業である。トヨタ自動車の営業利益率が8%前後であることと比較すると、生活用品はハイテク製品よりも研究開発のコストがかからず、原価率が低い、しかも数ヶ月のサイクルでリピート購入されるため、商品のブランド名が世間に認知されると安定して高収益を上げられる特性がある。

《P&Gの主力ブランド例》

 ○パンパース(赤ちゃん用紙おむつ)
 ○アテント(介護用紙おむつ)
 ○ファブリーズ(消臭剤)
 ○アリエール(衣料用洗剤)
 ○レノア(柔軟剤)
 ○ウィスパー(生理用品)
 ○Gillete:ジェレット(安全カミソリ)
 ○BRAUN:ブラウン(電気シェーバー、電気歯ブラシ)

この中にあるのは、P&Gが独自に開発した商品ばかりではなく、他社を買収することで傘下におさめたブランドも含まれている。安全カミソリの「ジェレット」は2005年に約570億ドル(約5.8兆円)で買収したもので、その系列となっていた電気シェーバーの「ブラウン」も同時に取得している。

その一方で、P&G社が手放すブランドも多い。世界 140ヶ国で販売されていたポテトチップスの「プリングルズ」というブランドは、コーンフレークで有名な米食品大手のケロッグ社に約27億ドルに売却(2012年)。また2015年には、美容部門として保有していた化粧品や香水で43商品のブランドを、フランスの化粧品メーカー、コティ(COTY)社に対して125億ドル(約1.5兆円)で売却している。

このように、消費者がリピート購入をする頻度が高い食品、日用品、化粧品などは、ブランド単位での事業売買が活発になってきているが、もともとはスモールビジネスとして手掛けやすいカテゴリーである。近年では、安全・健康、安くても高品質をキーワードに訴求するネットの直販業者が、自身のブランド価値を高めてきている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧

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