JNEWS会員配信日 2015/9/4
人にはそれぞれ、生い立ち、生活環境、個性、価値観、ライフスタイルなどの違いがあり、それらの多様性は尊重されるべきであるという風潮が、世界的に高まっている。島国の日本では、長らく固有の文化が定着していたため、国籍が違う外国人を無意識のうちに差別していたり、女性蔑視の考えさえ未だに残っている。
それは、日本企業の従業員構成からも把握できる。日本では、大企業でも外国人社員の採用率などを公表していないが、全体の統計値では、日本国内で働く外国人の割合は、労働人口のわずか1%、女性社員が管理職に登用される割合も10%前後で停滞している。

他方、海外のグローバル企業では、従業員の多様性(ダイバーシティ)データを公表するようになってきている。グーグル、フェイスブック、アップルなどでは、世界の消費者を顧客としているため、社内の職場環境についても、国籍、年齢、性別、言語、文化などで、多様なバックグラウンドや個性を持つ従業員が揃うことが、製品やサービスの向上に繋がると考えている。
■フェイスブックの多様性レポート
■グーグルの多様性レポート
■アップルの多様性レポート
こうした流れの中で、新たな人権として尊重されるようになってきたのが「性的指向」のカテゴリーである。L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル、両性愛者)、T(トランスジェンダー:身体と心の性が一致しない人)を総称した、性的少数者の人達(LGBT)は、人口の3〜5%が該当するとみられている。
これまでの彼らは、世間から好奇の目で見られることが多かったが、米国の連邦最高裁判所は、2015年6月に、「同性カップルの結婚は合憲である」という判決を出したことから、全米すべての州で同姓婚が法的に認められるようになる見通しだ。
それに伴い、企業では性的少数者に対する正しい接客マニュアルを作成する必要に迫られている。世論調査会社のギャラップ社によれば、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーのいずれかであることを、自分自身で認めている人は、米国の成人で3.8%の割合になるという。数でいえば 約900万人だが、カミングアウトしていない人も含めれば、さらに該当者の数は多くなる。
また米国勢調査(2013年発表)では、同性婚世帯はまだ全体の1%程度に過ぎないが、彼らの世帯年収は11万5千ドル(約1400万円)で、一般世帯の平均値を大きく上回っている。
つまり、企業が性的少数者の生き方を支持していくことは、彼らの権利を尊重するだけでなく、優良顧客の獲得に繋がることも意味している。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
ファッションブランド「Gap」がLGBT支持を表明するシンボルマーク
■JNEWS会員レポートの主な項目
●企業向けダイバーシティトレーニングと対策市場
●優良顧客ターゲットとしてのLGBT層
●ゲイ、レズピアンの所得状況について
●ゲイ、レズピアンが重視する消費項目
●企業が意識するLGBT向けマーケティング
●LGBT層が築く新たなブランド価値
●ピンクマネーが形成する購買マーケット
●LGBT消費者の集客と顧客開拓方法
●LGBT消費者への広告展開モデル
●日本でのLGBT対応と新商品開発について
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.9.4
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