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  3Dプリンターは、パソコンで作成した3Dデータを元に、どんなデザインの造形物やパーツでも出力することができる。その用途は、自動車、ハイテク製品、医療用具まで幅広く、製造業全体の枠組みを変える可能性がある。
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製造業の枠組みを変える
3Dプリンター革命の本質と着目分野
JNEWS会員配信日 2013/6/13

 18世紀から20世紀にかけての製造業は、手工業から大量生産への変革(産業革命)が起こり、世界の経済を成長させてきたことは周知の通り。質の高い製品を大量に作ることができる技術や設備は、自動車、家電製品、衣料、食品などあらゆる分野へと導入されることで、消費者の生活を豊かにしてきた。

次に起きたのは、20世紀後半から現在にかけてのIT革命で、インターネットや携帯電話の普及は、消費者のライフスタイルや、人との交流方法を大きく変えることとなった。さらに製造業の現場にも、ITは取り込まれることで、製品の高機能化や多様化が著しく進む一方で、昭和の時代に大量生産型で躍進してきたメーカー企業では、体制の再構築を迫られている。

誤解してはいけないのは、これからの製造業が“衰退”していくのではなく、新たな技術や製品が次々と発明されることにより、製造現場で求められる役割が変化していることである。

総務省の発表によれば、国内製造業の雇用者数は、1992年に1376万人のピークを打った後に下降を続けて、2013年には 988万人にまで減少している。1000万人を割り込んだのは1960年代以来のことだ。

《製造業雇用者の推移》

 

大量生産の拠点が、先進国から新興国へシフトしていることを踏まえれば、国内の雇用者が減少していくことは理解できる。その一方で、これからの製造業に求められるのは、設計やデザインを担当できる人材だ。それは、先進国の製造業が、製品のカスタマイズをしたり、オーダーメイドに対応した少量多品種生産へとシフトして、価値を高めていこうとするためだ。

それを可能にするのが、ハイテク工作機械であり、「3Dプリンター」はその代表例といえる。パソコンで設計したデータから、立体的な作品を出力できる3Dプリンターは、21世紀の発明品として各所で注目されるようになってきた。しかし、具体的にどんな分野に導入されることで、モノ作りの価値を高められるのかは、模索されている段階。

その中でも、医療の分野で3Dプリンターを利用しようとする動きが活発だ。病気や事故で損傷した身体の一部を、3Dプリンターで修復するような技術、それに、歯科の治療では、最も3Dプリンターの実用化が進んでいる。製造業で培ったハイテク技術と、先進医療とが結びつくことで、人間の寿命を延ばすことができる超高付加価値製品も生まれている。


【3Dプリンターが変える製造業の枠組み】

 従来のプリンターが平面(主に紙)に出力するのに対して、3DプリンターはCADなどのデータに基づき、立体的な作品を出力することができる。「3Dプリンター」は、ここ数年で流行り出した言葉だが、もともとは「立体造形装置」として、産業用途向けに10年以上前から開発されてきたものだ。

産業用の立体造形装置の価格は5千万〜1億円以上するが、次第にダウンサイズされ安価になっており、3Dプリンターと呼ばれるようになってきた。

これからの3Dプリンター市場は、趣味などで使うパーソナル用と、製造業の現場で使われる産業用の2系統に分かれて、専門の用途に特化したマシンが多数登場してくることになるだろう。それにより、モノ作りの手法も大きく変わることになる。

3Dプリンター・メーカーのビジネスモデルは、2Dプリンター・メーカーが築いてきたような「プリンターを販売した後に、インクやトナーを売る」のと同様に、「プリンター本体+マテリアルの販売」による、個人・法人ユーザーとの継続的な関係が期待できる。さらに、3Dプリンターで出力可能なデータを作成するためのソフトウエア開発も、隣接した市場として大きい。

この記事の核となる項目
 ●3Dプリンター・メーカーの収益構造について
 ●医療に活用される3Dプリンターの可能性
 ●歯科治療で実用化される3Dプリンター技術
 ●歯並びを矯正する3Dマウスピース
 ●歯科向け3DプリンターラボとCADテクニシャンの仕事
 ●3Dバイオプリンターによる先進医療の未来
 ●プリンターから服を取りせる近未来のアパレル業界
 ●3Dプリンターに隣接したマテリアル市場について
 ●ユーザー参加で需要を先読みするソーシャルプロダクト開発
 ●モノ作り立国の頭脳となる研究者の育成と資金調達ルート


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JNEWS LETTER 2013.6.13
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