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  保険適用外となる先進的な医療サービスを受けると、月額2百万円を超すような費用がかかることも珍しくない。そこで高度な医療をできるだけ安く受けられることを指南するコンサルタントや、名医の診療を受けられる予約順位を繰り上げるサービスが登場してきている。
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高額の医療費を安くするノウハウ開発と
名医紹介の業界構造
written in 2010/9/8

 米国では人生成功の条件として「医師・弁護士・リアルター」の3人を友人に持つことと言われる。医師は自分の健康を守ってくれて、弁護士は仕事や私生活でトラブルが起きた時に役に立ち、リアルター(不動産ブローカー)は資産形成の良きアドバイザーになってくれるであろう、という意味だ。

いずれも“友人”と呼べる信頼関係を持つことが大切で、一見の客としてマニュアル通りのアドバイスをしてもらうだけでなく、普通では聞きにくいことや、深い相談ができるようになると、人生の難局を乗り越えることができる。

特に、医師については、自分や家族が深刻な病気になったときの相談相手として頼りになる存在で、信頼できる医師が身近にいるか否かで、余命が変わってくると言っても過言ではない。社会的に地位の高い人達ほど、重病に罹った際の生存率が高いのは、名医との出会いや人脈を作れる機会が多いためだろう。

もしも、手術を受けなくてはいけないような時に、どの病院や医師に任せるのかは重要な問題だが、そのアドバイスやサポートをしてくれる相談窓口は十分に整備されていない。厚生労働省が平成20年に行った、受療行動調査によると、患者が入院先を選択する際の情報源は、友人や知人、医師からの紹介が大多数を占めており、役所や病院のホームページなどに掲載された情報よりも、リアルな人間関係に頼っていることがわかる。

《患者が病院を選択する際の情報源(複数回答有り)》

  

名医に診てもらうには、“あそこの先生は腕がいい”という情報をキャッチするだけではダメで、診察依頼が殺到するスケジュールの中でも、優先的に予約を受け付けてもらえるような紹介者を立てることが必要になる。最寄りの病院からでも、紹介状(診療情報提供書)を書いてもらうことはできるが、高度な手術になるほど執刀できる医師の数は限られるため、どうしても順番待ちの状態が続いてしまう。

日本は、世界的にも優れた公的保険制度により、誰でも平等に医療サービスを受けることができるものの、自分や家族が深刻な病気になれば、できるだけ平均より上の治療を受けたいと思うのが心情だろう。そこに向けては、保険会社が新たな商機を狙っている。

従来の生命保険といえば、亡くなった時に家族が困らないための死亡保障や、老後までの貯蓄を兼ねたものなどが主流だったが、加入者が高齢化して保険金の支払い負担が増えてきたことと、株安や低金利による預かり資産の運用成績が伸び悩んでいることで、終身保険のビジネスモデルが成り立たなくなってきた。

その代わりに、病気になった時の治療費の支援に加えて、名医や先進医療を受けられる病院の紹介、病気に関する総合的なアドバイスやサポートをセットにした医療保険を主力商品にしようとしている。いま受診している主治医の見立てが適切か否かを、他の専門医に相談する“セカンドオピニオン”にしても、一般の患者は自分で専門医を探すための人脈が無いため、そうしたサポート付きの医療保険に入っておけば安心、という売り方である。

しかし、名医の紹介やセカンドオピニオンの仲介、先進医療に対するアドバイスなどは、保険会社でなくても手掛けられる医療支援サービスであり、欧米では様々なベンチャー企業が登場してきている。それらの動向を探りながら、今後は年間で50兆円を超えるとも言われる医療市場への参入方法を考えてみよう。

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この記事の核となる項目
 ●複雑怪奇な医療制度と医療保険のトリック
 ●年々上昇する国民一人あたりの医療費推移
 ●民間医療保険とガン保険加入者の推移
 ●入院して実際に支払われた保険金の推移
 ●合法的な医療の裏ワザを指南する専門家の必要性
 ●高額療養費制度による医療費の還付モデル
 ●名医紹介、セカンドオピニオン仲介の業界構造
 ●米国における名医紹介ビジネスの仕組み
 ●オンライン医療相談ネットワークの可能性
 ●オンライン診療プラットフォームのビジネスモデル
 ●高度な医療を求めて国境を渡る医療ツーリスト
 ●在宅介護セルフサービス時代の幕開けと新たな専門職の役割
 ●Health2.0型サービスが狙う医療ビジネスの参入ポイント
 ●30兆円超を動かす医師との関係作りと名医格付ビジネス


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