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  宗教によって葬儀のスタイルも変わってくるが、近年は、できるだけ簡潔、 かつローコストで済む宗教を好む人が増えている。さらに、環境への配慮から、できるだけ自然への負担が少ないエコ葬儀の形態もキリスト教徒を中心に広がっている。
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人生のエンディングを取り仕切る
葬儀業界の変革と新モデル
written in 2010/7/25

 いま中高年を対象にして、密かに人気が高まっているイベントに「エンディングセミナー」というものがある。どんな人にも、いつか訪れる“死”に対して正しい知識を学んで、いざという時に困らない準備をしておくためのセミナーである。

消費が先細りして、多くの産業が存続に苦しんでいる中でも、今後の30年間にわたり需要の拡大が確実視されている分野が一つだけある。それが、人が亡くなることに対するサポートやケアをするための市場であり、欧米では「デスケアサービス」と呼ばれており、葬儀サービスもその中に含まれる。

国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によれば、いま一年間に亡くなる人の数は約120万人だが、2025年には150万人を超すようになり、それが2040年に160万人超のピークを迎える。その予測からすると、デスケアサービスが今後の成長市場であることは間違いない。

《日本の出生数と死亡者数の予測》

  

いまの葬儀にかかる費用は、地域の習慣によっても異なるが、日本消費者協会の調査で全国の平均値は 236万円という水準。その内訳は、葬儀一式費用(150万円)、寺院の費用(48万円)、飲食接待費用(38万円)となっている。これからの葬儀需要と1件あたりの費用で単純計算をすれば、年間3兆円を超す巨大市場ということで、異業種から葬儀ビジネスへ参入するケースが増えている。

近年の葬儀ビジネスは、フランチャイズへ加盟する方式により、地場の企業が参入しやすくなっているのが特徴。以前は「副業として葬儀業を手掛けることはタブー」という風潮があったが、最近では電鉄会社、ホテル、観光業者、農協、不動産会社などによる葬儀会館の経営が相次いでいる。

葬儀会館を開業するあたり、建物や設備の初期投資に数億円をかけたとしても、葬儀は単価と利益率が高いために、想定通りの需要が見込めれば十分に採算が合う、というソロバン勘定によるものだ。

ただし、ハコ(建物や設備)に依存した葬儀ビジネスは、同じ地域で同業者が増えると、稼働率が落ちて価格競争に陥る懸念があることに加えて、葬儀の形式がこのまま続くとは限らない。近頃では、近親者だけで故人を見送る、密葬や家族葬のような葬儀のダウンサイズ化や、宗教観も多様に変化していることから、葬儀業界にも変革の波が訪れている。

デスケア市場の全体でみれば、人が亡くなる前〜亡くなった後にかけては様々なケアサービスが必要になるため、ハコに依存したビジネスよりも、人生のエンディングを迎えるにあたり、本人や家族に対して精神的な満足を与えられる、ソフト重視のサービスを提供することが今後の課題といえる。

日本人は宗教の信仰心が薄いと言われる中、意外にも、葬儀に関してだけは世界で最も高い費用をかけているのが実態。それは、江戸時代から続く葬儀習慣として守られてきたものだが、亡くなる人の数が、生まれてくる子どもの数を大幅に上回る時代には、高価で大掛かりな葬儀を維持していくことは困難だ。それに代わって、新たな葬儀のスタイルや故人供養の方法が登場してくるのは必然であり、この業界にもベンチャービジネスの参入商機は見つけられる。
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この記事の核となる項目
 ●提携と再編が進む葬儀業界の集客ルートと経営指標
 ●異業種から参入する葬儀ビジネスの着目点
 ●スモールビジネス化する葬儀業者の動向
 ●脱宗教化する故人供養の方向性
 ●遺族の悲しみを癒すグリーフサービスとは
 ●急増する未亡人に向けたケアビジネス市場
 ●デジタル社会における新たな故人の供養スタイル
 ●永続的に保存される故人メモリアルサイト
 ●故人メモリアルサイトのビジネスモデル
 ●同棲カップルが日本を救う少子化対策ビジネスの核心部分


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